防水対策は万全に…水が建物をだめにする
条件6:防水対策が万全である
防水は集合住宅を守るうえで最も大切であり、コンクリートの品質管理とも密接な関係があります。
コンクリートの管理が悪いとクラック(建物の外壁や内壁、基礎などにできる亀裂やひび割れのこと)ができ、隙間が生まれます。すると屋上の防水層がダメージを受け雨漏りなどで建物に水が回ると、クラックを通って鉄筋に水が入り、鉄筋が錆びてしまいます。錆びは膨脹しますので、クラックがさらに大きくなり、加えてそこに水が入り、余計に錆びる…。この悪循環を繰り返すことで、建物の寿命が短くなってしまいます。
その対応策として、「誘発目地の設定」によるクラックコントロールが効果的です。あらかじめコンクリートのクラックが集中して入る場所を想定して目地を設定することで、目地にクラックが集まり見た目の美しさを保つことができるのです。
建物を長く維持するには、防水対策を万全にするべきです。10年程度に一度、防水検査をして、「そろそろ防水のメンテナンスをしたほうがいい」と専門家から言われた場合は、そこで一度手直しをしなければなりません。
規模にもよりますが、数十万円で済むはずです。
そこを放置してしまうと、建物全体へのダメージが広がり出費額も一桁、二桁変わってくるうえ、外観の著しい寂れにつながる恐れがあります。
10年持てば大丈夫「悪徳業者の手抜き工事」
条件7:10年後のメンテナンスを考えた仕様になっている
売買の対象が新築の建物である場合、一定の主要部分(住宅の構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分)では瑕疵担保責任の期間が10年となっています。
つまり、10年以内に瑕疵(欠陥)が見つかった場合、住宅事業者は無料で直さなければいけないことになっています。事業者としては、最低10年は持たせるように作らなければなりません。しかし、サステイナビリティを考えると、当然それでは不十分です。
瑕疵担保責任が切れたあとに、いかにメンテナンスをしやすくできるか、までを考えなければ、長持ちするマンションにはなりません。メンテナンスがしづらいと、必要な手入れもやりにくくなり、スラム化にもつながります。
条件8:パラペットの立ち上がりに工夫がある
メンテナンスのしやすさが考えられているかどうかを見極める一つのポイントは、マンションの屋上に上がって、パラペット(以下の図表3参照)の立ち上げの部分をチェックすることです。
パラペットとは、屋上の端部から立ち上がっている低い壁のことです。建物の先端を保護し、防水や転落を防止するためのもので、外周部を立ち上げる形で作られ、胸壁とも呼ばれます。このパラペットの立ち上がり部分が直角になっておらず、斜めになっていたり、金具などで補強されていたりする場合は、メンテナンスを考慮していると考えていいでしょう。
パラペットの立ち上がり部分が直角になっているとごみがたまりやすく、腐食したり、コンクリートや防水シートが破れやすくなったりします。これが、屋上からの雨漏りの原因につながるケースが少なくないのです。
また、先ほど言及した「10年後のメンテナンス」とは、「もの」についてのメンテナンスだけではありません。そこにどんな人が住むことになるかまで予想して作られていることが望まれます。