2020年11月分「機械受注」のデータ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

 

11月分機械受注(除船電民需)は大型案件無くても前月比+1.5%と2ヵ月連続増加に

 

製造業・前月比▲2.4%の減少、非製造業(除船電民需)・前月比+5.6%の増加

 

基調判断は「下げ止まっている」から「持ち直しの動きがみられる」に2ヵ月連続上方修正

 

10~12月期見通し前期比▲1.9%は12月前月比▲43.5%以上で達成。実績はプラスか

 

 

●11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.5%と2ヵ月連続の増加になった。前月比+41.6%になった通信業などがしっかりしている。3ヵ月移動平均は前月比+4.4%で3ヵ月連続の増加になった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲11.3%で2ヵ月ぶりの減少になった。前月比マイナスの事前予想より、11月分実績は良かったという印象である。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回10月分では大型案件は0件であったが、今回11月分でも大型案件は0件であった。大型案件の影響で2ヵ月連続前月比が増加になったわけではないことがわかる。

 

●11月分製造業の前月比は▲2.4%と2ヵ月ぶりの減少だ。11月分の製造業では17業種中、6業種で増加し、減少は11業種だった。

 

●11月分非製造業(除船電民需)の前月比は+5.6%と3ヵ月連続の増加になった。電力業は前月比+7.3%の増加であったが、11月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲11.2%と3ヵ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回10月分は2件であった。内訳は、官公需が防衛省1件(航空機1件)、外需1件(化学機械1件)であった。今回11月分は1件。内訳は、官公需が防衛省1件(航空機1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は11月分前月比▲6.6%と6ヵ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲12.2%と19ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は11月分前月比+5.9%と2ヵ月連続の増加になった。前年同月比は+25.4%と2ヵ月連続の増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年10月分から20年3月分まで半年にわたり「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断にさらに下方修正され、7月分では判断据え置きになった。8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、9月分でも据え置きになった。前回10月分で「下げ止まっている」に上方修正となったあと、今回11月分で「持ち直しの動きがみられる」に2ヵ月連続で上方修正となった。機械受注(除船電民需)の3ヵ月移動平均が3ヵ月連続上昇したことなどを反映しているようだ。

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは▲1.9%である。10~12月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年の11年間でみると、上振れ7回、下振れ4回であり、やや上振れしやすい傾向がある四半期である。20年(令和2年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率89.5%をかけたものである。10~12月期の前期比見通しの▲1.9%を達成するためには、12月分の各月分が前月比▲43.5%でよい。12月分が前月比0.0%なら10~12月期の前期比は+14.8%になる。新型コロナウイルス感染症の動向が不透明な中、12月分は前月比減少になる可能性が大きいだろうが、その場合でも10~12月期の実績が見通しを上回り、前期比増加になる可能性が出てきたようだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの2020年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、9月は47.5(同10人)と持ち直した。その後10月は46.8(同8人)、11月は50.0(同13人)、12月は44.4(同9人)と推移している。12月のコメントには「新型コロナウイルス禍による営業活動の制限、取引先での感染者の発生など先行きが不透明な状況により設備投資が見送られている。」(中国、電気機械器具製造業〔総務担当〕)とコロナ禍で設備投資が出ないことを指摘するものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは2019年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落した。20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した後、10月は41.1(同14人)、11月は35.0(同5人)まで低下したが、12月では45.8(同12人)まで戻した。12月では「企業の設備投資は依然として低調で、それに関連した需要が戻るにはまだ時間が掛かりそうである。一方、自動車関連の受注は好調に推移しており、国内や輸出についても中国、さらには先進国向けを中心に増加傾向にある。国内は急速に回復した需要に対し人手不足感が強まっており、企業間で人の行き来も出始めている。」(北陸、一般機械器具製造業〔総務担当〕)という自動車関連の受注の好調さと、設備投資の低調さを対照的に指摘するコメントがあった。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年11月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2021年1月14日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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