入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。息子夫婦の協力によってつかの間の休息をとることができたものの、癇に障るお見舞いや姑の理解できない言動に今後への不安が募っていく。 ※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

このまま逝ってくれたら。

このまま逝ってくれたらという思いが一瞬よぎったのである。ところがタオルなど関係なく姑は大きく息を吐いた。これくらいで死ぬもんかと言わんばかりに。危うい思いはその後起きることはなかった。姑は自分も私をも救ったのだ。

 

一方、夜の活動は相変わらず激しい。点滴の針を抜かないよう結んである紐から手を引き抜こうとひねるので肩痛がひどい。手すりを持って寝たり起きたり、手すりを結んである紐を解こうとしたりは相変わらずだし、痛くなるはずである。

 

布団をたたんだり広げたり下に落としたり、枕を落としたりお尻に敷いてあるバスタオルを外して下に放り投げたり、全くよく動く。その時は一向に疲れないらしいが、翌朝肩にこたえるのだ。正気だったら肩どころか全身痛だろう。

 

レントゲンでは異常はないが日中は肩痛でお茶碗も持てないし、車椅子への移動もトイレへの移動も自力では出来ないほどだ。それが夜になるとどうしてせわしく動けるのか不思議でならない。

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嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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