政府「相続税と贈与税の一体化」に意欲…相続対策はどうなる?

日本では、相続税と贈与税は異なる枠組みになっていて、生前贈与と死後の相続では税負担額が大きく変わります。一方、欧米主要国では二つの税を統合。資産移転の時期に関係のない中立的な税制になっています。そのため“国際標準”に合わせようとする動きが活発化しているというのです。そこで相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士に、相続税と贈与税の一体化について解説いただきました。

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日本の贈与税制の問題点とは

昨年11月、資産家にとっては気になるニュースが報じられました。「自民党税制調査会の甘利会長が幹部会合後、記者団に対し相続税と贈与税の一体化に向けた見直しに意欲を示した」というものです。

 

これにより例年12月に発表される令和3年度税制改正大綱が注目されたものの、今回は特に改正を行う内容は盛り込まれませんでしたが、“諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税を一体的に捉えて課税する観点から、現行の贈与税制の在り方を見直すなど、資産移転の時期に中立的な税制の構築に向けて本格的な検討を進める”との記載があり、二つの税の一体化に向けた法改正への確かな動き出しがある模様です。

 

日本における現行の税法では、原則として相続により取得する財産と贈与により取得する財産とで異なる税率や基礎控除等が設けられおり、それぞれが別個に課税される構造になっています。

 

贈与税については、「暦年贈与」(注1)と「相続時精算課税贈与」(注2)の選択制ですが、「暦年贈与」が原則で、相続時精算課税贈与は申告・届出により適用が可能です。

 

(注1)暦年贈与
・毎年1月1日~12月31日までの贈与が対象
・基礎控除である110万円/年までは課税されない
・110万円を超える贈与に対しては高額になるほど税率が上がる超過累進税率が適用
・相続開始前3年以内の贈与については相続財産に加算して相続税の対象になる
(支払った贈与税があれば相続税から控除。控除しきれなくても還付なし)

(注2)相続時精算課税贈与
・60歳以上の父母、祖父母から20歳以上の子、孫への贈与が対象
・通算2,500万円までの贈与については贈与税がかからない
・2,500万円を超える贈与に対しては一律20%の贈与税がかかる
(将来の相続税から控除。控除しきれなければ還付)
・贈与した財産額は将来の相続財産に加算して相続税の対象になる

 

相続税と贈与税が別々の枠組みだと…
相続税と贈与税が別々の枠組みだと…

 

問題点①
贈与税(暦年贈与)には、生前に財産を移転させて相続税の負担回避を図ることを防止するための相続税の補完税たる機能が期待されていることから高い税率が設けられ生前贈与に対して抑制的に働いているため、高齢世代が持つ資産が若い世代へ早期に移転しづらいという問題があります。

 

問題点②
110万円以下の贈与や、将来の相続税負担率よりも低い税率で済む範囲の贈与を行うことで(注3)、特に富裕層が分割して贈与を行うことにより相続税の(または贈与税とトータルでの)負担を回避・軽減させる対策を行うことが可能となっています。

 

このことは、上記の税制改正大綱の中でも「資産移転の時期に中立的な税制の構築に向けて」と言及されているところですが、かなりシンプルに言うと、たとえばAさんとBさんがそれぞれ1億円の資産を持っていて、Aさんは毎年110万円以下の生前贈与をコツコツと行って相続発生時には8,000万円が残っており、一方でBさんはまったく生前贈与をせず相続発生時には1億円がそのまま残っていたとします。

 

AさんとBさんの相続人がそれぞれ子一人だった場合、Aさんの子にかかる相続税は680万円、Bさんの子にかかる相続税は1,220万円となり、それぞれの子が取得する財産は総額として同じ1億円であるにもかかわらず資産移転の時期が異なることにより税額に隔たりが生まれるのは不公平であるという考え方です。

 

(注3)
[例]見込相続税負担率が10%以上である場合、以下の範囲での贈与を行うことにより節税となる

 

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税理士法人ブライト相続 税理士

東京都杉並区出身。2012年、税理士法人レガシィ入社。200件超の相続税申告、相続税還付、税務調査対応、譲渡所得税申告、遺言書作成その他の相続対策コンサルティング業務など、数多くの資産税関連業務に従事。2019年、税理士法人ブライト相続入社。

著者紹介

連載実例で解説!相続専門税理士が教える「あなたに合った」相続対策

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