相続税における「押印制度の範囲」とは?
新型コロナウイルスの影響によって経済が厳しい状況のため、今回は大胆な税制改正はできなかったという印象でしたが、菅義偉政権が推し進めるデジタル化が税務面でも「脱ハンコ」として進みました。
相続税についての解説となりますが、原則としては、税目を問わず、税務関係書類については押印廃止となりました。
この税務関係書類というのは、法人税、消費税、所得税の申告書はもちろんのこと、設立届出書等の各種届出書も押印不要ということです。
ただし、一部の書類については押印が必要という例外も含まれます。具体的には、税制改正大綱の内容は以下の通りとなります。
(1)担保提供関係書類及び物納手続き関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求める書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注1)国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
(注3)上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。
分かりにくい表現ですので、以下で解説いたします。
基本的には、原則として申告書の押印が廃止となるという理解で大丈夫です。ただし、例外としましては、現行において実印による押印が必要なものや、印鑑証明書の添付を求めているものは除外されています。
つまり、相続税に関する部分では簡単にいうと、下記の理解で大丈夫です。
・遺産分割協議書・・・押印必要(実印)
そのため、相続税に限りませんが、他の税目についても基本的に申告書の押印は不要となります。
また、いつから押印廃止が開始されるかという点ですが、こちらは、原則としては、令和3年4月1日以後の提出分となりますが、施行日前においても運用上、押印がなくても改めないということから、4月1日以前分においても実務上はOKという理解で大丈夫です。
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