年齢を重ねた人の多くが発症する「白内障」。視力の低下に人知れず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、白内障手術を多く手掛けてきたベテラン眼科医が、「ものがはっきり見える目」と「白内障の目」の仕組みの違いから、白内障になるとものが見えにくくなる原因について解説します。

角膜、水晶体…「ものがはっきり見える」仕組みは?

白内障になるメカニズムを説明する前に、私たちの目についての仕組みも、少し勉強しておきましょう。

 

私たち人間の目は、丸い形をしています。直径は2.5㎝くらいです。トルコに詳しい方はご存じだと思いますが、トルコにはナザールボンジュウという目玉の形をしたお守りがあります。青いガラスに黒、水色、白で同心円が描かれていて、魔除けや、願いが叶うといった意味があるそうです。私もトルコでナザールボンジュウのビー玉をもらったことがありますが、ちょうどそれが本物の目玉と同じ直径2.5㎝でした。

 

そこで、クリニックの白内障手術の説明会でも参加者の皆さんにこのビー玉を渡して、「これが皆さんの眼球とちょうど同じくらいの大きさです」とお話ししています。実際のサイズを見ると、眼球は意外に大きいことが分かります。

 

さて本物の目の話に戻りましょう。目には黒目があり、この部分のことを「角膜」といいます。

 

そして角膜の奥をよく見てもらうと、茶色い部分が見えます。黒目の真ん中の周りの茶色いところですが、これを「虹彩」といいます。虹彩はカメラでいえば、絞りに当たります。明るいところではきゅっと縮み、暗いところでは開いて、目の底に届く光の量を調節しています。

 

虹彩の奥には「水晶体」があります。水晶体は、カメラのレンズと同じように、目に入ってきた光を集めて焦点(ピント)を合わせる働きがあります。

 

そして、水晶体を通って入ってきた光は目の底に広がる「網膜」というところに届きます。網膜は光を感じる膜で、カメラでいえばフィルムに相当します。そしてここで感じた光の信号は目の神経を通って脳へと届けられます。このような仕組みで、私たちは目でものを見ています。

 

特に、外から入ってきた光が角膜や水晶体を経て網膜の上で焦点を結び、この信号が目の神経を通って脳に届いたとき、初めて私たちは「ものがはっきり見える」という状態になります(図表)。

 

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[図表]ものが見える仕組み 出典:眼科先進医療研究会『最新鋭 白内障手術』(リンケージワークス)

 

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※本記事は、松原令氏の著書『「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療

「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療

松原 令

幻冬舎メディアコンサルティング

白内障は、加齢によって進行し、80代のほぼ100%が、目の悩みを抱えているといわれています。ですが、諦めることはありません。白内障を確実に治療し、さらには失われた視力さえ取り戻す方法があるのです。 それが、眼内レン…

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