年齢を重ねた人の多くが発症する「白内障」。視力の低下に人知れず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし近年では、手術技法も大きく進歩しています。今回は、白内障手術を多く手掛けてきたベテラン眼科医が、白内障特有の見え方からわかる「セルフチェック方法」について解説します。

水晶体が変化してくると「老眼」そして「白内障」へ

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

水晶体は目のレンズであり、実際に虫眼鏡のレンズのような形をしています。水晶体の直径は9㎜程度で、1円玉の半分くらいの大きさです。

 

水晶体の構造は、透明な薄い袋と透明な中身の二層になっています。透明な薄い袋はたくさんの細い糸のようなもので周りの筋肉(毛様体筋)とつながっていて、目の中で水晶体の中身を支える役割を担っています。

 

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[図表]目の機能低下が現れやすい部位 参考資料:日経BP社『日経ヘルス 2017年8月号』

 

水晶体の中身のほうは、もともとは透明でとても柔らかく、弾力性のある組織です。なぜ弾力性があるかといえば、見たい距離に合わせて水晶体の厚みを変え、ピント調整をするからです。

 

近くを見るときは水晶体を囲んでいる毛様体筋がギュッと縮んで、水晶体を膨らませ、近い距離にピントを合わせます。反対に、遠くを見るときは毛様体筋が緩み、水晶体は薄くなって、遠くのものにピントが合うようになります。

 

若い人の目は毛様体筋もよく動きますし、水晶体も透明で、水のように柔軟なため、自在に厚みが変わります。だから遠くでも近くでも、見たいところにパッとピントが合うのです。

 

ところが、年を取ってくると、若い頃と同じようにはいかなくなります。まず毛様体筋が疲れて動きが悪くなります。近くを見たくても毛様体筋が十分に縮まず、近くにピントが合いにくくなります。これが初期の老眼です。早い人では30代後半、遅い人でも40代半ば頃までには、こうした変化を自覚するようになります。

 

さらに水晶体の中身も年とともに変化します。水分が少なくなり、次第に弾力性が失われて硬くなっていくのです。若い人の水晶体が水だとしたら、ゼリーや寒天のような感じになっていきます。そうなると、ますますピント調節の働きが低下し、老眼が進行していきます。

 

そして水晶体の変化が進んで、透明だった中身に白っぽい濁りが出てくると、いよいよ白内障の症状が表れてきたことになります。

 

先ほどから、水晶体を透明な薄い袋に水が入っている状態に例えていますが、それをそのまま一晩冷凍庫に入れておくとどうなると思いますか?

 

翌朝、冷凍庫を開けて袋を取り出すと、袋の中の水はカチカチに凍っていますね。袋は透明なままだけれど、中身がカチカチになっている。これが白内障の状態です。また、水が凍ると白っぽく濁ります。この濁りによって、ものがはっきりと見えなくなるのが白内障です。

 

個人差もありますが、平均年齢でいえば、早い人では40代から、多くは60代、70代頃から目の変化や見えにくさを実感する人が多くなります。つまり、年とともにレンズの働きをしている水晶体がだんだん変化することで、老眼や白内障が起きてくるのです。

 

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※本記事は、松原令氏の著書『「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療

「バラ色の毎日」を叶える 白内障治療

松原 令

幻冬舎メディアコンサルティング

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