病弱な弟が亡くなったあとも、弟嫁は実家から出ることなく両親との生活を継続。離れて暮らす姉は、弟嫁が実家で暮らし続けることも、弟の子が実家を継ぐことにも異論はありませんでしたが、よかれと思って預けた老父の通帳から大金が使われたのを知り、焦りを覚えます。弟嫁から通帳を取り戻し、父親の医療費と自身の相続分を確保することはできるのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

まず通帳を取り戻し、父親に遺言書作成の依頼を

父親の意思で通帳を弟嫁に預けたのではありませんので、筆者は、「いったん父親に通帳と印鑑を見せる」などの理由をつけ、すぐにでも弟嫁から戻してもらうようアドバイスしました。

 

これ以上、父親の療養以外の費用に預金が使われてしまうと、どんどん目減りしてしまい、最悪底をついても不思議はありません。

 

 

幸い、浅田さんの父親はまだ認知症ではないということでしたので、すぐにでも「自宅は甥に、預貯金は長女に」といった内容の遺言書を書いてもらうこともおすすめしました。そのうえで、預金が父親以外の用途で減らないように管理できれば、不安は解消できるでしょう。

 

いうまでもありませんが、預金通帳やキャッシュカードなどの管理には注意が必要です。預かった人が勝手にお金を引き出すことがないよう、情報共有するなどの方策が欠かせないのです。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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