90代で大往生した父親には、先妻の子と後妻の子、合計5人の子がいます。高齢父のそばで面倒を見ていたのは、先妻の子である長子の長男。用意周到な父親は公正証書遺言を残し、保有する資産の多くを長男に渡るようにしていましたが、その通りに遺産を相続すると、相続税の納税額が高額となり、不安です。どうしたらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

90代で大往生の父が残した、不動産と預貯金

今回の相談者は、70代の佐野さんです。90歳を超えた父親が亡くなったことで遺産相続が発生しましたが、遺産の分割と相続税の支払いに不安があるということでした。

 

佐野さんの父親は、数十年前に先妻を亡くし、再婚をしましたが、その後妻も10年以上前に亡くなりました。父親と先妻との間には、長男である佐野さん、2人の妹である長女と次女、その下に次男となる弟の4人がいます。父親と後妻との間には長男がひとりいます。

 

 

佐野さんの父親は後妻を亡くして以降、90歳を過ぎて天寿をまっとうするまで、ずっとひとり暮らしでした。とはいえ、先妻との間の長男である佐野さん家族がすぐ近くに住み、食事の世話や病院の送迎といった、日頃のこまごまとした面倒を見てきたということです。

 

母親違いの弟を含め、きょうだいたちはみんな普段から行き来があって仲がよく、関係に問題はありません。また、父親は生前から子どもたちそれぞれに現金や土地を贈与しており、それをもって財産分与とする旨を話していました。それについては全員が納得・了解していました。

 

父親が亡くなったときの財産は、父親が住んでいた土地、建物、父親と共有名義である佐野さんが住む自宅の土地、他県に所有する広めの土地、預金でした。

 

相続関係者と資産状況

●被相続人:父親(配偶者は死亡)
●依頼者 :佐野さん(男性、70代)
●相続人 :相続人5人(先妻の長男〈佐野さん〉・長女・次女・次男、後妻の長男)
●資産内容:自宅不動産、佐野さんの自宅土地、地方の土地、預貯金300万円

公正証書遺言はあるものの、自分の相続税額が不安

父親は、公正証書遺言を作成しており、そこには、ほとんどの財産を佐野さんに相続させるとの記述がありました。佐野さん家族が住む家の土地は、父親と佐野さんの共有になっているほか、佐野さんがそばに暮らして日常の面倒をみていたことへの配慮からです。それについての内容に異論はありませんが、佐野さんが心配しているのは1点、他県にある土地のことでした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

その土地は、父親が祖父から相続したもので、遺言書には「子どもたち5人で均等に相続して売却し、相続税を払ったあとの残りを分けるように」と記載されていました。

 

しかし、遺言書のとおりに相続すると、売却代金も5分の1になってしまいます。相続税をいちばん多く払う佐野さんは、自分の相続税が払えないのではないかと不安を覚えたのです。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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