高齢化、少子化、貧困、教育……日本にはさまざまな社会問題が山積しています。しかし、なかには社会的な周知が進まず、解決までの道のりが遠いものも。今回は「寄付基金の運営による継続的な寄付の推進」と活動する、パブリックリソース財団理事長の久住剛氏に、「コロナ禍における社会貢献」と「オリジナルの基金による社会貢献」について解説いただきます。

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コロナ禍で行動が制限…寄付による社会貢献に注目

――コロナ禍で苦しむ人々を救いたい

 

――生活困窮に直面する子どもを助けたい

 

――コロナとたたかう医療機関・医療従事者を支援したい


など、社会貢献の志を持つ人が増えています。社会貢献を行うためには、ボランティアとして直接活動に参加する方法もありますが、今回のコロナ禍では、自身が直接行動に出ることは難しい状況です。そこで、もうひとつの方法が、寄付による社会貢献です。医療機関、NPO、市民団体への寄付を通じて、困難に直面している人々を救うことが可能なのです。

 

 昨今は気軽に寄付も(画像はイメージです/PIXTA)
昨今は気軽に寄付も(画像はイメージです/PIXTA)
 

 

しかしながら、「どの団体に寄付をすればいいのだろう?」「寄付を確実に活かしてくれる信頼できる団体はどうやって探したらいいのか?」「寄付によって実現された成果をきちんと把握したい」など、寄付先の選択などについては、かなり悩む方も少なくありません。

 

そうした時には、個人からの寄付を受け入れ、寄付者の希望する分野の適切な団体を選定して助成を行う「助成財団」を活用する方法があります。寄付者の社会貢献の意志をヒアリングし、その意志を実現する最適のプログラムを提案し、独立会計の基金として運用していくのです。寄付を最大限に生かしてもらえる適切なNPOや市民団体の選考、助成金によってどのような社会的効果が生まれたかのレポートまでを助成財団が寄付者に成り代わって担当します。

遺贈や相続財産で「オリジナルの基金」を創設

このように個人寄付を受け入れる助成財団を米国では「コミュニティ財団」と呼び、全米各地に700以上のコミュニティ財団が存在し、寄付者の意志に沿ったオリジナルの基金が運用されています。

 

日本でも1990年代以降に、米国のコミュニティ財団のように個人の寄付を受け入れる公益の助成財団が生まれてきています。現在、都道府県単位の財団が数団体、内閣府認定による全国版の助成財団は2~3存在しています。こうした助成財団では、個人の寄付者の社会貢献の希望に応じてオーダーメードで創設されるオリジナルの基金が運用されています。

 

こうした基金は、寄付金を数年間にわたって助成金として配分していく「取り崩し型」が一般的ですが、まとまった寄付金の場合には、有価証券として運用益により助成金を支出していく「永続型・運用型」の基金もあります。

 

生前でもこうしたオリジナルの基金を創設することも可能ですが、自身の死後に、遺言による寄付(遺贈)や、相続人によって遺志を実現してもらう相続財産によるオリジナルの基金をつくることもできます。

 

遺贈や相続財産によって、オリジナルの基金を創設することは、ゴールデンエイジにとっての社会貢献の志を実現する方策だといえます。たとえば、創業の地に恩返しをしたいとまちづくり活動を支援するオリジナル基金、子どもの教育支援をしたいとの御母堂の遺志を引き継いで、ご子息がつくられた教育基金など、社会貢献の志を基金に託す実例が生まれています。そうした実例を紹介しましょう。

 

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