高齢化、少子化、貧困、教育……日本にはさまざまな社会問題が山積しています。しかし、なかには社会的な周知が進まず、解決までの道のりが遠いものも。今回は「寄付基金の運営による継続的な寄付の推進」と活動する、パブリックリソース財団理事長の久住剛氏に、「コロナ禍における社会貢献」と「オリジナルの基金による社会貢献」について解説いただきます。

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実例:栃木県・会社社長、遺産でオリジナル基金を創設

2018年春にお亡くなりになったMさんは、一代で自動車部品製造会社を立ち上げ、資産を形成されました。Mさんの会社の主力工場は、栃木県のA町に所在しており、その町及びその町出身の従業員に対して、何らかの形で「恩返し」をしたいという社会貢献の想いを抱いていたそうです。そして亡くなる1年前から、顧問税理士とともに、その方法を模索していました。

 

最初のアイデアは、自身が亡くなった後で、遺産をもとに「公益財団法人」を設立して、A町の福祉やまちづくりのための事業を行うというプランでした。しかし、

 

①公益財団法人の設立手続きが大変に複雑、煩瑣であり時間と労力がかかる

②法人設立後に、財団運営のためのスタッフや事務所などの経費がかかる

③特に、社会貢献目的を実現するためのスタッフの確保が極めてハードルが高い

 

などが分かり、財団法人のプランは難しいとの判断に至りました。

 

これに代わるのが、遺産を助成財団に寄付(遺贈)して、オリジナルの基金を創設し、運用するというプランです。

 

Mさんは、2018年3月に遺言書を残して逝去され、その後、遺言執行人となった税理士が遺産を整理。2020年1月に、公益の助成財団に寄付を実行し、オリジナルの基金が創設されました。

 

この基金の特色は、永続型(運用型)の基金であることです。ESG投資も含めた金融資産(有価証券)として大手証券会社に運用を委託し、その運用益を助成金や社会貢献事業として活用していく形です。日本経済が消滅しないかぎり、永遠にこのオリジナル基金は存続するのです。

 

すなわちこの基金は、故人の遺志を実現すべく永続的に運用されていきます。現在、この基金の運用方針については、Mさんのゆかりのある人たちと協議をしながら、A町の実態に合う形で、遺志を最大限に活かせるようなプログラムを企画中です。

 

久住 剛

パブリックリソース財団 理事長

 

 

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