実例:栃木県・会社社長、遺産でオリジナル基金を創設
2018年春にお亡くなりになったMさんは、一代で自動車部品製造会社を立ち上げ、資産を形成されました。Mさんの会社の主力工場は、栃木県のA町に所在しており、その町及びその町出身の従業員に対して、何らかの形で「恩返し」をしたいという社会貢献の想いを抱いていたそうです。そして亡くなる1年前から、顧問税理士とともに、その方法を模索していました。
最初のアイデアは、自身が亡くなった後で、遺産をもとに「公益財団法人」を設立して、A町の福祉やまちづくりのための事業を行うというプランでした。しかし、
①公益財団法人の設立手続きが大変に複雑、煩瑣であり時間と労力がかかる
②法人設立後に、財団運営のためのスタッフや事務所などの経費がかかる
③特に、社会貢献目的を実現するためのスタッフの確保が極めてハードルが高い
などが分かり、財団法人のプランは難しいとの判断に至りました。
これに代わるのが、遺産を助成財団に寄付(遺贈)して、オリジナルの基金を創設し、運用するというプランです。
Mさんは、2018年3月に遺言書を残して逝去され、その後、遺言執行人となった税理士が遺産を整理。2020年1月に、公益の助成財団に寄付を実行し、オリジナルの基金が創設されました。
この基金の特色は、永続型(運用型)の基金であることです。ESG投資も含めた金融資産(有価証券)として大手証券会社に運用を委託し、その運用益を助成金や社会貢献事業として活用していく形です。日本経済が消滅しないかぎり、永遠にこのオリジナル基金は存続するのです。
すなわちこの基金は、故人の遺志を実現すべく永続的に運用されていきます。現在、この基金の運用方針については、Mさんのゆかりのある人たちと協議をしながら、A町の実態に合う形で、遺志を最大限に活かせるようなプログラムを企画中です。
久住 剛
パブリックリソース財団 理事長
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】