入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。息子夫婦の協力によってつかの間の休息をとることができたものの、癇に障るお見舞いや姑の理解できない言動に今後への不安が募っていく。 ※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

手術は成功したが嫁の負担は増えていく。

手術はうまくいったようだ。良かった。部分麻酔なので意識ははっきりして変わりなく、先生や看護婦さん方が酸素の量や血液の検査、血圧測定に体温測定などできりきり舞いの状態である。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

血液が少なめで酸素不足になると、脳のダメージが強くなるからとの説明があり、結局、術後輸血することになる。本人はいたって元気で術後とも思えない。

 

点滴する手は動かすし酸素は抜くし額のガーゼは取るし、やりたい放題だ。私のほうは目と手が離せない。点滴の腕は二重、三重に防御してあるものの指先に酸素モニターのクリップが挟んであるのでしっかり握っていなければならない。

 

私も馬鹿力には自信があるが、彼女にはかなわない。すごい力で私の手から自分の手を引き抜き、あっという間に酸素を外しモニターのクリップも外してしまう。

 

この時改めて悟ったのだ。人には潜在的にすごい能力が備わっていることを。しかしどうして、こういう時にその力を発揮するのだ。自由になりたい一心からか。

 

その夜は夫と娘が付き添う。明け方まで妄想が強く、店をまた始めるとか葬式の段取りはどうなっているかと言ったり、相変わらず動き回るし点滴は抜こうとするし、自分たちが休めないので手を縛ったそうだが何度も解かれ、その集中力にはまいったとのこと。やはり潜在能力のなせる業だ。

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嫁姑奮戦記

嫁姑奮戦記

大野 公子

幻冬舎メディアコンサルティング

入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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