年金は減り、医療費は高くなる…日本の悲惨な将来
日本は、すぐに経済破綻するというわけではありませんが、このままのペースで借金が増え続けると、破綻の危険性は確実に高まっていきます。そこで政府は、財政緊縮を進めようとしています。医療費の患者負担割合を高めているのも、その一環です。
年金受給額も今後は引き下げが進むでしょう。1996年における平均年金受給額は、国民年金が5万328円、厚生年金が17万825円でした。ところが、2014年には国民年金が5万4497円、厚生年金が14万7513円となっています。国民年金はかろうじて微増となっていますが、厚生年金は14%も減っているのです。
病院の入院ベッド(病床)数を減らそうとしているのも、財政緊縮策の一つです。政府は2015年時点で全国に135万床あるベッド数を、2025年までに115万~119万床まで減らす方針を明らかにしました。
特に大幅に削減しようとしているのが、長い治療が必要な病院の慢性期のベッド数です。慢性期の入院患者はそのほとんどが高齢者で占められます。このベッド数を減らせば、治る見込みのない高齢者は病院ではなく、自宅や介護施設で療養しなければなりません。
なぜなら、病院で高齢者のケアをするのは、かなりの医療費がかかります。入院患者のケアは医師と看護師が24時間体制でするのですから、コストの負担が大きくなるのは当然です。慢性期の高齢患者のケアを、患者の家族や介護施設に移すことで、高齢者にかかる医療費を削減するのが狙いです。
ただし、受け入れる側の準備は進んでいません。厚生労働省が公表した「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」によると、2025年には約253万人分の介護人材が必要だといわれています。ところが、介護の仕事は仕事がキツいわりに給与水準が低く、働き手はなかなか増えていません。