2025年「介護難民の数」に絶句。特に首都圏は…
そこで2025年に介護業界で実際に働く人は、215万人しかいないだろうと予測されているのです。その差は、約38万人。介護業界における人材不足はきわめて深刻です。そのため施設は増えていないのが実情です。
また、比較的費用が安く入所できることから人気が高い、特別養護老人ホームの不足は以前から問題視されています。2014年時点の厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームに入所できていない高齢者が、2013年度は52万2000人に上ると発表しています。前回調査の2009年度から4年間で約10万人、24%も増えていることになります。
この費用も減らすべく、政府は特別養護老人ホームの入所要件を引き上げ、要介護度3以上にしました。その結果、ますます介護を必要とする人が介護施設に入れない「介護難民」になるという状況を生み出しているのです。
民間の有識者会議「日本創成会議」によると、団塊の世代すべてが75歳以上の後期高齢者となる2025年に、全国で約43万人が「介護難民」となり、特に東京圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川県)だけで3割の約13万人に上るという試算を発表しています。
では、一般家庭での介護環境はどうでしょうか。すべての高齢者のケアを家族が家庭でするというのも、現実問題としては難しいでしょう。厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」によると、1953年における1世帯当たりの家族の平均人数は5.0人でした。ところが、この数字は年を追うごとに下降。1961年には4人を、1992年には3人を割り、2015年には2.5人にまで下がっています。
昔の日本は大家族で暮らしていました。そのため、家庭内に高齢者の介護をする余裕があったのですが、核家族化が進み、世帯当たりの人数が減ったことで、介護の担い手が少なくなってしまったのです。
さらに、昔ながらの家制度の崩壊も、介護の担い手不足に拍車をかけています。以前は「長男の嫁が義父母の面倒を見る」という習慣がありましたが、今はそうしたケースは少なくなっています。