病院経営者の悩みは増える一方です。地域医療構想など医療行政の長期的変化、診療報酬改定、医療技術の高度化への対応、足元での収益力低下、厳しさを増す人材不足・採用難、経営者自身の高齢化、そして、後継不在。ここでは病院M&Aを検討するうえで知っておきたいメリット・デメリットについて、譲渡側・譲受側の双方から解説します。※本連載は、矢野好臣氏、余語光氏の共著『病院M&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

廃業や開業に伴う「多額のコスト」を削減

●建物や設備の承継

 

廃業を検討する場合、病院建物の取り壊し、設備の廃棄などに多額の費用が必要になりますが、譲渡することでこれが不要になります。

 

譲受側から見ると、既存の建物や設備が活用できることは、初期コストの削減につながります。

 

●不動産、エリア

 

病院の建物が建つ土地が理事長個人の所有で、それを医療法人に貸し付けているというケースがよくあります。その場合、土地は理事長が個人所有したままにして、M&Aの対象医療法人に貸し付けて地代を得る方法を取れば、理事長のリタイア後の安定収入源となります。譲受側からすると、新規に病院用地を探さなくていいことが大きなメリットです。

 

また、土地とは違いますが、エリアという観点から見ると、すでに病床が満たされているエリアで新規に病床を増やす許認可はなかなか下りません。その場合でも、M&Aを通じての取得なら病床を増やせることが、譲受側にとってのメリットでしょう。

 

 

余語 光

名南M&A株式会社 事業戦略本部 医療支援部 部長

認定登録医業経営コンサルタント登録番号7795号/医療経営士

 

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余語 光

幻冬舎メディアコンサルティング

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