家計調査にみる「65歳以上世帯」の暮らしぶり
2020年、社会を激変させた新型コロナウイルス。なかには収入が大幅に減少し、生活スタイルを大きく変えざるを得なかった人もいたでしょう。ただワクチンの開発などにより、このような不安は長期的にみれば一時的なもの、という見方が多くを占めています。
むしろ長期的にみれば、少子高齢化の進行、膨らみ続ける社会保障費……と、老後不安のほうが大きいでしょう。
――将来、きちんと年金が支払われるのだろうか?
――定年後、暮らしていくのに年金だけで足りるのだろうか?
――いったい、いくら老後には必要なのだろうか?
世間をにぎわした「老後資金2000万円問題」は、このような不安が顕在化した結果なのでしょう。
厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金被保険者数は、令和元年度末現在で6762万人(速報値)。厚生年金保険(第1号)が1538万人、国民年金が3262万人となっています。
厚生年金保険(第1号)の平均年金月額を都道府県別にみていくと、最も多いのが「神奈川県」で16万6546円。「東京都」「奈良県」「埼玉県」「愛知県」と続きます(図表1)。
一方で平均年金月が最も少ないのが「青森県」で12万2081円。「秋田県」「宮崎県」「山形県」「沖縄県」と続きます。1位と47位では月額4万4465円、1年換算で53万3580円の差が生じる計算になります。
年金に大きな地域差があることがわかりましたが、物価も大きく違うので、一概に年金が多い地域が暮らしが楽であるとは限りません。そこで年金暮らしの実態を総務省「家計調査」から「65歳以上世帯」に注目してみていきます。
まず該当世帯の平均人員は1.8人、世帯主の平均年齢は75.4歳、持ち家率は92.9%。おそらく、多くの人が抱く「高齢者の世帯」のイメージに近いのではないでしょうか。
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