日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは「貧困率」。先進国である日本には、生活するのも苦しい……という家庭はどれほどあるのでしょうか?

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新型コロナの感染拡大で給与減が続く

新型コロナウイルス、第三波の拡大による緊急事態宣言。経済への影響は最小限に抑えようと、限定的な措置になりますが、それでも長引くコロナ禍、私たちの生活への影響は計り知れません。

 

厚生労働省による「毎月勤労統計調査」によると、昨年、緊急事態宣言が出された4月、原現金給与総額が前年比マイナスを記録。以来、前年を上回ることなく推移しています(図表1)

 

出所:毎月勤労統計調査
[図表1]現金給与総額の推移 出所:毎月勤労統計調査

 

同調査によると前回の緊急事態宣言明けの夏季賞与は、前年比プラス0.5%(事業所規模5人以上)。多くの産業で業績の急激な悪化がありましたが、夏のボーナスの支給金額は直前の春に決定することから、コロナ禍の影響は2020年の冬以降とされていました。2020年冬季賞与の実績はまだまとまっていませんが、調査会社は軒並みマイナスを予想。リーマンショックを超える前年比10%以上の減少とされています。

 

一方で企業の倒産件数は、前回の緊急事態宣言以降、6月は前年比プラス6.26%を記録したものの、7月以降は前年比マイナスを記録。特に10月は前年比マイナス20.00%、11月は前年比マイナス21.73%と、統計を開始して以来の低水準と話題になりました。これは政府の支援はもちろん、企業の努力もあるでしょう。私たちの生活は、なんとか踏みとどまっている、といったところでしょうか。

 

2020年は記録的なマイナスを記録したというGDPも、2021年度はプラスに転じるといわれています。しかし出口がみえてこないコロナ禍。「このままでは家計が破綻する……」と不安に襲われている人も多いのではないでしょうか。

 

厚生労働省による「国民生活基礎調査」(2019年)によると、「貯蓄がある」と回答したのは81.9%で、1世帯当たり平均貯蓄額は1077万4000円となっています。また「借入金がある」と回答したのは28.5%で、1世帯当たり平均借入金額は425万10000円となっています。

 

これだけみると「借金を上回る貯蓄もあるから大丈夫そうだな」と感じるでしょう。しかし児童のいる世帯に限ると「借入金がある」と回答したのは55.8%で、1世帯当たり平均借入金額は1119万7000円。また世帯主の年齢でみていくと、「30~39歳」で借入金平均は1071万1000円、「40~49歳」で1002万7000円と、状況が一変します。マイホームのローンが家計に重くのしかかる…子どもがいる働き世代の様子が垣間見られます。

 

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