中小病院は「より儲からない」状況へ…広がる収益格差
独立行政法人福祉医療機構の調査(※)によると、医療法人の2017年度と2018年度の平均事業収益を比べると、約33.6億円から約34.5億円と約0.9億円の増収となっています。また、平均事業利益率を見ても、約1.7%から約2.1%と0.4ポイント上昇しています。つまり医療法人全体の平均で見れば、わずかながら増収増益となっています。
ところが、赤字の医療法人の割合を見ると、22.5%から24.8%へと2.3ポイント上昇しており、約4社に1社が赤字経営です。また、事業収益規模が10億円未満の医療法人では、赤字割合は、24.2%から34.6%へと10.4ポイントも上昇し、約3社に1社が赤字です。
ここから分かることは、規模が大きな医療機関は、より高い収益・利益を上げている一方で、赤字に転落する医療機関が増えているということ。特に、規模が小さい医療機関ほど、経営が厳しくなっているということです。
一口でいえば、収益性の格差が広がって「儲かる大病院はより儲かり、儲からない中小病院はより儲からない」状況となっているのです。
この背景には、ご存じのように診療報酬改定による収益力の変化や人件費の高騰などによる費用増もあるでしょう。
そもそも、諸外国に比べて日本の病院は数が多過ぎるという点は、従前より指摘されています。実際、20年前の2000年には国内に9200院以上あった病院数は、毎年減り続け、2018年には8400院を割り込んでいます。
機能別に見ると、急性期、慢性期の病床については、相対的に過剰とされ、地域医療構想においてはその縮小、ならびに回復期機能の充実が提言されています。
特に、慢性期病床を中心としていた中小病院については、地域包括ケアシステムにおける自院の役割・ポジショニングを見極めることが重要となっています。
足元の収益性が悪化しているなかで、長期的な変化も見据えて病院経営の舵取りをしていかなければならない現代の病院経営者には、大きな責任と苦難があるのです。
※ 「2018年度医療法人の経営状況について」独立行政法人福祉医療機構
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