収益悪化に追い打ちをかける「人件費の増加」
そのような長期的な変化への対応を考えようとしたときに、ネックとなるのが病院スタッフの人材不足と採用難です。
多くの病院は、すでに人材不足で苦労しています。そのなかで、病床機能を変化させたり在宅診療などの新しい取り組みにチャレンジしたりしようと思っても、それに対応できる人材の確保は容易ではありません。それどころか、必要な看護師数が満たせないために、現状の病床もフル稼働させられないという病院もあります。
一方で、採用難は人件費の上昇をもたらし経営を圧迫する要因になります。周辺病院の水準に劣らない給与支払いは当然であり、質の良いスタッフに働き続けてもらうためには、水準を上回る給与支払いが必要になることもあります。
実際、病院の費用支出のうち実に平均約55%が給与費になっています(「第22回医療経済実態調査〈医療機関等調査〉報告」中央社会保険医療協議会)。
それに加えて、人材紹介会社などに支払う費用も、近年高騰を続けており、ばかになりません。
そして、この人材不足は、わが国の少子高齢化を背景とした労働力人口の減少に根本的な原因があるため、多少の波はあるとしても、劇的な解決は今後も困難だと考えられます。
従業員のワガママも「飲み込まざるを得ない」状況
人材不足の病院経営者を悩ませるのは、人件費の増加という費用面の問題だけではありません。
病院の機能を維持するためには、医師、看護師、放射線技師、理学療法士など、一定の数の有資格者を常に雇用していなければならないのです。有資格者に退職されてしまうと、同じ有資格者を補充しなければならず、だれでもいいというわけにはいきません。
そのため、できるだけ辞められないように経営サイドが気を配る必要があります。それは当然、従業員も分かっていることなので、従業員のほうはむしろ立場的に優位に立ち、さまざまな要求をしてくることがあります。以前ならはねつけることができた多少の無理な要求も、「辞められては困るから」と、認めざるを得なくなります。
さらに「働き方改革」の影響により、過剰勤務が問題になっている医師はもちろん、看護師もコメディカルワーカーも、時間外労働を増やすことは難しくなっており、むしろ削減しなければなりません。しかし既存スタッフの時間外労働を削減しようとすれば、やはりそれを補う人材を確保しなければなりません。それが難しければ、従業員にどうにかお願いして時間外労働をしてもらうしかありません。
そういった状況下において多くの病院で生じているのが、従業員側の力が相対的に強くなり、経営者側の力が相対的に弱くなるという、パワーバランスの変化です。
収益性が低下しているなかで、さらに従業員とのパワーバランスが変化したことにより、労務管理が難しくなり、経営者に多大なストレスをもたらしています。
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