労働生産性に見合わず「人件費が高過ぎる」という事実
また、日本の中小企業は、労働分配率が高過ぎる傾向にあります。労働分配率とは、人件費(正確には人件費および労務費ですがここでは、まとめて人件費といいます)を付加価値額(生み出した価値)で割った値です。低いほうが、収益性が高いとされています。一般に60%以内に抑えることが推奨されており、50%以下であればまず収益性の高い黒字体質の優良企業といえます。
ところが中小企業の労働分配率は、長らく70%前後で推移しています。これは「危険水域」といっていい水準です。これでは人件費の負担があまりにも大きく、いくらほかのコストを切り詰めても焼け石に水です。
以上をまとめますと、中小企業は労働生産性が低く、労働分配率は著しく高いということです。日本の中小企業は、1人あたりの付加価値額が少ないのに、かなり無理して給料を支払っています。これが、経営者の悩みの根本です。
「ムダな仕事」が多過ぎる…労働生産性が低い原因
もう少し詳しく説明していきます。まず労働生産性が低い理由について考えてみましょう。労働生産性が高くならない大きな理由は、時間を有効に使えていないことにあります。つまり、直接付加価値を生まない間接的業務の時間が多いということです。
人材の採用や育成にかけた時間は、人材が定着しないとムダになっています。さらに離職率が高いと、退職する人の業務を引き継ぐために、一定期間、同じ業務を二人で行うといった、二重の時間、人の配置が必要になります。
また後任のために退職者は業務の手順書を作らなくてはなりません。また、人が行う作業の中で最も価値を生まないと思われるのが転記です。ITシステムの普及により事務作業そのものは楽になりましたが、その割には労働生産性が上がっていません。その最大の原因が、システムとシステムとをつなぐ際に発生する転記です。
例えば受注システムに入力した売上高を、会計システムにもう一度手入力するといった作業が該当します。あるいは受注システムで打ち出した帳票から、受注状況のレポートを作成するためにMicrosoft Excel(以下、Excel)にデータを手入力するような作業も転記です。作業実績の画面を見ながら、進捗管理用のシステムに数値を打ち込むのも該当します。例を挙げればキリがありません。特に中小企業では、IT化が遅れ、情報を一元化するシステムを備えていないことから転記が多くなるのです。
メーカーであれば、いくら工場が自動化されていたとしても、営業情報、受注登録、工場の作業指示書、生産管理、検収、品質管理、出庫指示書、配送伝票、請求書発行など、すべてに転記が必要であれば、全体の労働生産性は低くなります。
転記は、企業活動に必要ではなく、さまざまなシステムを作ったがために、その「つなぎ」のために発生した作業です。したがって、なんとかしてなくすべき作業だといえます。
一方で、企業活動に欠かせないが、それ自体は価値を生まない仕事があります。一般的に間接業務といわれるものです。中小企業にとって経理業務がそれにあたり、代表的なものが仕訳入力です。これは大変な作業で、中小企業でも月2000〜3000件の仕訳入力が発生することはざらにあります。仕訳は財務会計や申告納税のために必要な作業なので、企業活動からなくすことはできません。中小企業ではこのような作業は、なんらかの形で省力化することが必要でしょう。
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