日本の中小企業の経営が思わしくないことは客観的なデータからも明らかです。業績不振の根本的な原因は高すぎる「労働分配率」にありました。解決策としては、人件費を削減するか、1人当たり労働生産性を高めるかのどちらかです。簡単なのは前者ですが、そもそも人材不足の中小企業で人を辞めさせずに人件費を減らそうと考えれば、給与を減らすしかありません。そんなことをしたらますます人がいなくなってしまいます。とはいえ後者を実現するにはどうすればよいのでしょうか? ここでは労働生産性を高めるのに有効な手段として、近年普及が進む「RPA」解説します。※本連載は田牧大祐氏、佐々木伸明氏の共著『中小企業経営者のための「RPA」入門』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

そもそも「RPA」とは何か?

RPAは日本でも数年前から普及が始まり、Webや雑誌などで頻繁に取り上げられるようになりました。ベンダーも盛んにプロモーションをしており、すでにRPAをご存じの方や詳しく勉強されてきた方もおられると思います。一方であまり詳しくないという方もおられると思いますので、簡単に説明します。

 

RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、「認知技術(学習機能・人工知能等)を活用したパソコンのソフトウェアに組み込まれたロボットが、主にホワイトカラーの業務を代行する取り組みおよびその概念」といわれています。簡単にいうと、パソコンのなかにいるロボットに人の手作業を代行させる技術です。

 

ロボットと聞くと、ソフトバンクロボティクスの「Pepper(ペッパー)」のような人型ロボットがパソコンのマウスやキーボードを操作し仕事している情景をイメージする人がいますが、RPAでいうロボットは、パソコンのなかで動いているソフトウェアを指します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

RPAには大きく分けて次の3つの機能があります。

 

●エディタ(ロボットの動作の設定を行う)

●ソフトウェアロボット(実際に作業を行う)

●管理機能(ロボットを管理する)

 

ここではこの3つの機能全体を「RPA」、自動作業を行うソフトウェアロボットを「ロボット」と呼んで区別しています。また、RPAを実現するソフトウェアを「RPAツール」と呼びます(誤解が生じない場合には、単にRPAと呼ぶこともあります)。

 

ロボットの作り方はRPAツールによって違いがありますが、ロボットの動作(業務手順)はなんらかのファイルとして保存されます。このファイルを「ロボットファイル」または「プロセスファイル」と呼び、本書ではプロセスファイルで統一しています。なお、RPAツールによっては、ロボットの動作を「シナリオ」と呼ぶことがあります。

 

RPAツールには、サーバー型とデスクトップ型の2種類があります(図表1)。サーバー型はロボットをサーバーで集中管理するタイプのもので、サーバーからロボットを稼働するパソコンを割り振ります。デスクトップ型は、ロボットを作ったパソコン上でロボットが稼働します。

 

[図表1]サーバー型RPAとデスクトップ型RDA

 

サーバー型をRPA、デスクトップ型をRDA(Robotic Desktop Automation)といって区別します。ここでは、RPAとRDAを区別する必要がない場合、RPAと呼ぶことにします。

 

RPAと似た言葉にデジタルレイバー(Digital Labor、仮想知的労働者)があります。これは、人の代わりに仕事を行うソフトウェアやハードウェア(ロボットなど)の総称です。業務変化に強く、人間よりパフォーマンスが高く、無制限に増やせるのが特徴です。

 

RPAもデジタルレイバーの一種で、主に定型的な業務を得意とします。学習によって仕事を覚えるタイプのデジタルレイバーが存在し、これには人工知能(AI)技術が必要です。

 

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中小企業経営者のためのRPA入門 RPA導入を成功させる方法

中小企業経営者のためのRPA入門 RPA導入を成功させる方法

田牧 大祐

佐々木 伸明

幻冬舎メディアコンサルティング

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