新型コロナ感染が急拡大し、医療現場は大混乱している。医師・歯科医師専門の人生設計支援サービスを展開するディーズ・ライフ・イノベーション株式会社が全国の医師または歯科医師100人を対象に「コロナ禍でドクターが抱える悩み」について緊急アンケートを行った。新型コロナ感染拡大にともない、患者が医療機関への受診を控えているといわれていたが、実際は「あまり変わらない」45.0%、「増えた」16.0%、「減ったが戻っている」6.0%と受診控えは報道されているほどでもないようだ。医療現場の医師は何に悩んでいるのか、ジャーナリストの伊波達也氏が解説する。

医師の悩みは「感染リスク」「院内感染予防」

「コロナ禍でドクターが抱える悩み」というアンケートは、全国の医師、歯科医師100人を対象におこなわれたものだ。アンケートは、インターネットを通じて2020年11月5日から12月8日の間で実施された。

 

回答者の内訳は、歯科医60.0% 一般内科18.0% その他の科10.0% その他12%。勤務形態は、開業医55.0%、大学病院勤務医16.0%、一般病院勤務医12.0%、医院の勤務医10.0%、フリーランス3.0%、産業医・企業勤務医2.0%、研修医1.0%、その他1.0%だ。(D`z Life innovation株式会社調査より)

 

アンケート結果によると、「ドクターの悩みは『感染リスク』と『院内感染防止対策への取り組み』がツートップ!」ということがわかった。

 

以下、調査結果のサマリーは、「新型コロナ感染拡大後も外来患者数は『あまり変わらない』45%、しかし仕事量は『増えた』47%」「半数以上のドクターが悩みを誰にも『相談していない』」「ドクターが思う新型コロナの終息時期は『わからない』が33%。『来年の東京五輪までには』という回答は11%」ということだ。

 

これらのアンケート結果について、私なりに分析してみたいと思う。

 

医師の悩みは「感染リスク」と

「院内感染防止対策への取り組み」

 

アンケート結果のリリースの大見出しにもなっているように、ドクターたちは 日々、大きな不安を抱えていることだろう。今回のアンケートは歯科医師が6割を占めているが、口腔内を診る職業柄、かなり神経を使うことは確かだろう。

 

 

 

2020年3月15日、米国のニューヨーク・タイムズが「The worker Who Face the Greatest Coronvirus Risk」という記事を掲載したことに端を発し、さまざまな報道がなされた。その内容は、米国労働省のデータベースに基づき、「感染者と接する頻度」、「人との物理的距離」という指標により、歯科関係者が最も感染リスクが高い職業としたものだ。

 

しかし、これはあくまでも、防御対策の効果を考慮していない。歯科医師は、日々、患者対応、防護対策には苦慮しながらも万全の対応しているはずだ。

 

日本歯科医師会も、歯科医療機関向けに「みんなで安心マーク」という、感染症対策実施歯科医療機関を認証するマークを発行し、「新たな感染症を踏まえた歯科診療ガイドライン」や「院内における新型コロナウイルス感染症対策チェックリスト」も作成して、感染症対策に努めている。

 

もちろん、医師においてもその状況は同様だ。

 

勤務している仕事場にはさまざまな病態の患者が訪れるわけだし、入院施設のある場合には、入院患者がいるわけだ。施設ごとの対策のみならず、個々人での感染予防には、細心の注意が払われているはずだ。

 

ドクターたちは、自分自身が感染して健康被害を受けることへの不安はもちろんだろうが、それよりも医療者として自らが感染することにより、多くの患者に迷惑をかけたり、風評被害などで経営的な悪化が生じたり、といったことへの懸念が多いと予測される。

 

同居する家族の問題もあるだろう。医療者およびその家族は誹謗中傷を受けたり、差別されているという話がよく漏れ聞こえてくる。これはあってはならないことだが、実際にそういう傾向があるのは事実のようだ。

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