まず、話の前提として、アメリカは日本以上の学歴社会です。学歴によって、生涯年収や、ひいては社会の中で所属する階層が大きく変わります。ただし、日本の学歴社会とは、微妙に違っていて、どのような学位(Degree:高卒、学士、修士、博士などの区分)で、どのような学校を卒業している人なら、どれくらいの教育を受けていて、どれくらいの知識があるだろうという風に見られるという意味合いがあります。
学校の名前よりも、受けてきた教育内容や成績が重視されます。そのため、アメリカでは、小学校から公立学校の評価ランキング(School rate)が公表されています。GreatSchools.orgというWebサイトにアクセスして、住所や郵便番号を入れると、その地域の学校のランクがわかります。
また、Zillowなどの不動産情報サイトでも、物件周辺の学校のランクは、必ず掲載されています。
学校ランクは10段階で評価され、いい学校に人が集まる
学校のランクは10段階で評価され、7以上がいわゆる「いい学校」で、9〜10は超優秀校です。ランキングがいい学校は、より多くの予算が与えられ、設備も良く、教育内容も
優れているので、子どもを持つ親はなんとかいい学校に子どもを入学させようとします。
そこで、そういう学校がある学区は住みたい人が多くなり、人気が出るため、住宅価格
も上がるのです。
日本でもそうでしょうが、ある程度所得が高い階層の方が、子どもの教育に熱心な傾向
があります。そのため、ランクが高い学校がある学区には、所得が高い階層の住人が集ま
ります。すると、コミュニティーの治安や雰囲気も自然に良くなるでしょう。学区は教育
レベルだけではなく、治安にも影響しているのです。
そのことが付加価値となり、さらに不動産価格を押し上げます。不動産価格が高くなると、今度はそれを買える収入がある人たちだけが集まるため、一層、不動産価格が上がります。中長期的にはこのようなスパイラル現象が生じて、学校ランクの高い学区は、総合的に不動産価格が上がっていくのです。
一方、ランクの低い学校が集まっている学区では、逆のスパイラルが生じて、不動産価格
は低迷します。