相続税の税務調査が入る割合は、申告した人の10人に1人といわれています。ある日、突然、調査官がやってきて、家の中をくまなく調べあげ、申告漏れを指摘する……そんなイメージがあるかもしれませんが、それ、間違いです。相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が、税務調査について解説します。

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突然、家にやって来る「マルサ」とは?

あなた、誤魔化していますね(※画像はイメージです/PIXTA)
あなた、誤魔化していますね(※画像はイメージです/PIXTA)

 

相続税申告業務を進めて行くなか、税務調査が話題に出ると、「みなさんのなかでのイメージで査察(いわゆるマルサ)と税務調査を混同しているのではないかな」と感じることが多くあります。

 

そこで、査察と税務調査との違いを整理してみたいと思います。

 

まずは査察についてみていきましょう。国税庁が公表している「査察の概要」の前文を下記に引用します。

 

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査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。

 国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。
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キーワードは「悪質な脱税者」と「刑事責任」です。

 

査察は、もともとは国税通則法ではなく国税犯則取締法という法律に基づいて行われていて(平成30年4月から国税通則法に編入)、いわゆる強制捜査です。

 

この点が、税務調査と明確に異なります。

「マルサ」と「税務調査」の違いとは?

税務調査が想定しているのは「悪質な脱税者」ではなく、一般の納税者です。それに伴い、位置づけも強制捜査ではなく、任意となります。あくまでも納税者は、税務署に協力してあげる、というスタンスで臨むことができます。

 

任意とはいえ、拒否すると心証が悪くなるから結局のところ受け入れざるを得ず、実質的に強制のようなものではないか?と考える方もいらっしゃるかもしれません。

 

その辺りの疑問が生じることは国税庁側も想定していて、国税庁HPでも公表されている「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」の中で、下記のように記載しています。

 

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問3 正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の求めに応じなければ罰則が科されるということですが、そうなると事実上は強制的に提示・提出が求められることにならないでしょうか。

(回答)
帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがありますが、税務当局としては、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税者の方の理解と協力の下、その承諾を得て行うこととしています。
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何だか分かったような分からないような、本当に信じて良いの?という感じですが、いずれにしろ、税務調査なのに強制的に無断で家に税務署職員が押しかけてきて……みたいなことはありませんので、少なくともその点はまずご安心していただきたいと思います。

 

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