毎年恒例、幻冬舎ゴールドオンラインの相続特集が開幕! 本連載では岡野雄志税理士が相続トラブルについて解説していきます。今回は、二世帯住宅を建てようとした仲良し一家の事例。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

手続き無事終了…ライフスタイルに変化はあったのか?

(4)登記簿には「表題部」と呼ばれる表紙のようなものがあり、こちらも変更しなければいけません。先ほどの3の手続きは所有権に関する登記ですので、司法書士の業務ですが、「表題部」は土地家屋調査士の役割となります。「表題部」の変更により、登記上、2軒だった建物を1軒に統合することで、「共有登記」が完成します。

 

(5)もちろん、以上は登記簿上のことです。1階にDさんの奥様、2階に息子さんご一家が住むというライフスタイルを変える必要はありません。

 

(6)建物を「区分登記」から「共有登記」にしたことで、宅地にも「小規模宅地等の特例」が適用できるのです。

 

不動産に関する登記や税金の手続きは、このように煩雑になる場合もあるため、士業が連携して業務にあたることも少なくありません。

 

昨年、Dさんの奥様が他界され、当税理士事務所が相続税申告を承りました。司法書士や土地家屋調査士の先生方が手際よく業務を遂行されたおかげで、税務もスムーズでした。

 

今ごろ天国では、Dさんの奥様がご主人にいろいろとご報告されているかもしれません。建物の持ち分を息子さんと交換して節税できたこと、その後の暮らしぶりなども話されているのでしょうか。

 

 

岡野 雄志

岡野雄志税理士事務所 所長/税理士

 

 

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