「家を建てようね」すると建築会社から奇妙な提案が…
二世帯住宅で1階に親世帯、2階に子世帯が暮らすご家庭も多いことでしょう。しかし、居住する建物を1階と2階で登記上「区分所有」していると、宅地は親のみの所有とみなされ、親から子への相続が発生した際、相続税を減額できる「小規模宅地等の特例」が適用できない可能性があります。そこで、対策となるのが「固定資産の交換の特例」です。
■事例
Dさん親子は仲が良く、息子さんの結婚後もご夫婦ともに関係は順調でした。
Dさんの息子さんにお子さんが生まれた際、Dさんと奥様が暮らすご自宅を建て直し、二世帯住宅にして、ご両親と息子さんご一家が同居されることになりました。
二世帯住宅の建築費はDさんと息子さんが半々で出し合うことになり、息子さんは建築費用のローンを組むことになりました。すると、建築会社からこんな提案をされたのです。
「区分所有にするため、1階と2階の行き来は外階段にしてはいかがでしょう?」
実は、二世帯住宅の建物の登記には、大きくわけて以下の3種類があります。
単独登記:二世帯住宅を親または子のどちらかが所有する1戸の建物とみなし、所有者の単独名義で登記する方法。
区分登記:二世帯住宅を親子が別々に所有する2戸の建物とみなし、親と子がそれぞれの名義で登記する方法。
共有登記:二世帯住宅を親子で所有する1戸の住宅とみなし、親と子の共有名義で登記する方法。
3番目の「共有登記」で共有割合を半々としてしまうと、親と子の建物の資産価値に大幅な差異がある場合、価額の大きい者から小さい者へ贈与があったとみなされ、贈与税が課されるので注意が必要です。
2番目の「区分登記」にすると、2軒分の登記費用はかかりますが、親と子の両方に減税措置や住宅ローン控除を適用でき、節税効果が期待できます。ただし、親世帯と子世帯の完全分離が条件です。そこで、構造上、親と子の住まいを別々にする「外階段」という提案になったのです。