士業の仕事は自動化される仕事の一つ
昔、チェス盤を発明した男が王にチェス盤を献上したところ、王はたいそう喜び、「望みの褒美を与える」といいました。

そこで、この男は「チェス盤の最初のマス目に米を1粒置き、2番目のマス目に2粒、3番目のマス目に4粒というように、前のマス目に置いた米の数の2倍の数を次のマス目に置いていき、64マス目までに置いた米の総量が欲しい」といいました。王は「なんと欲のない奴だ」とたやすく受け入れましたが、実際に計算すると、64マスに置いた米の総量はエベレスト山よりも高い米の山になることがわかりました。男は王の怒りを買い、首をはねられてしまいました。(64マス目の米の数…,223,372,036,854,775,808 粒。64マスの米の総量…8,446,744,073,709,551,616 粒)
このチェス盤の法則から、18か月ごとに2倍になるというムーアの法則が示すIT機器の進歩の速度がいかに驚異的なものかがおわかりいただけると思います。これまでもIT機器は驚異的な速さで進歩してきました。身近な例では、ウェブサイトの数は2000年に1708万サイトだったのが、2017年には17億サイトを超え、17年間で103倍になりました(※)。2005年頃には大容量のもので256MB位だったUSBメモリも、今では数千円で256GBのUSBメモリが販売され、十数年で1000倍も容量が増えました。
機械に仕事が奪われる
2014年にマイケル・A・オズボーン英オックスフォード大学准教授は、発表した論文『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』(The Future of Employment: How Susceptible are Jobs to Computerisation?)で、今後10~20年で米国の総雇用者の約47パーセントの仕事が自動化されるリスクが高いと結論づけました。この論文の内容についてはご存知の読者も多いかもしれません。
2018年の世界経済フォーラムの研究によると、職場における業務の機械化・自動化率は、2025年までには現在の約29パーセントから50パーセント以上になるといいます。
※ http://www.internetlivestats.com/total-number-of-websites
これは世界の労働市場に計り知れない影響をもたらすもので、こうした論文や研究は枚挙にいとまがありません。
とどまるところを知らない技術の進歩により、今後、さらに多くの業務が自動化され、その結果、仕事を失う人も少なくはないでしょう。なかでも、士業の仕事は自動化される可能性が高い仕事の一つといわれています。
すでに危機感を抱く士業は新たなアクションを起こしています。本連載ではこのように技術が進歩していく時代において、士業が勝ち残っていくための考え方やアクションをご紹介していきます。
藤田 耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
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