AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。ITやAIの技術革新の波は今後もとどまることはない。とはいえ、打つ手はあると公認会計士・税理士の藤田耕司氏氏は語る。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

AIやIT技術はく今後ますます進歩していく

AIとは何か

 

人類の歴史において、機械化の主な目的は、「人間ができないことをできるようにする」「人間の手間を省く」という2つに集約されていました。

 

それぞれ具体的な例を挙げると、前者には「飛行機を使って空が飛べるようになる」「電話を使って遠く離れた人と会話ができる」などがあり、後者は「稲刈り機のおかげで収穫の手間が省ける」「洗濯機のおかげで洗濯の手間が省ける」などが挙げられます。

 

AIやIT技術は、今後ますます進歩していくという。(※写真はイメージです/PIXTA)
AIやIT技術は、今後ますます進歩していくという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この機械化の流れから、さまざまな人の「手間」が機械により自動化され解消されてきました。そして、今後もさまざまな「手間」が機械による自動化のターゲットとされ、自動化されていくでしょう。

 

機械化について昨今、特に注目されているのがAI(人工知能)です。実際、AIという言葉はインターネットや雑誌、新聞、テレビなどで氾濫しており、「AIが人間の仕事を奪う」といった論調の記事も紙面をにぎわせています。

 

ただ一方で、このAIが何の略かを知っている人は少ないかもしれません。AIの「A」を「Auto」の略だと思っている方もいますが、そうではありません。AIは「人工的な」という意味の「Artificial」と、「知能」という意味の「Intelligence」からなる「Artificial Intelligence」の略です。AIの定義は研究者によっても異なりますが、大量のデータから規則性やルールなどを学習し、そこからさらに与えられた課題に対して類推して回答するシステムを指すことが多いです。

 

人間の声を聴き取って回答する音声認識や質問応答システム、データの自動入力システム、自動運転車両、ウェブページでの商品の自動提案、将棋や碁、チェスなどの自動対戦システムなどがその活用事例としてよく知られていますが、こうしたAIやIT技術は、今後ますます進歩していきます。

 

ITの驚異的な進歩の速度

 

インテルの共同創設者のゴードン・ムーア氏は、集積回路(IC)の集積密度は18 か月ごとに2倍になるという法則を唱えました。これは「ムーアの法則」と呼ばれ、多くのIT機器はこの法則の速さで進歩しているといわれています。この速度がいかに驚異的であるかを示すのが、次の「チェス盤の法則」の話です。

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。 起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始…

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