コロナ禍により急速に導入が進んだ「テレワーク」。一見働きやすくなるかのように思われましたが、多くの人が「在宅勤務にはまた別の大変さがある」ということを実感しています。特に気になるのが「出費」。テレワークに伴う出費は経費として認められるのでしょうか? また、認められない場合でも負担を減らす方法はないのでしょうか。※本連載は、出口秀樹税理士の著書『経費になる?ならない?知って得する領収書の本』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。
在宅勤務中の「電気・水道代」…経費精算は困難
前項目と同じ状況で、在宅勤務している間の電気代と水道利用料金はどうなるのか考えてみましょう。
自宅の電気代や水道代は、日常生活を営む上で私的支出とされるものです。自宅はプライベート空間そのものであり、事業を営むための支出といえない公共料金は領収書があろうとなかろうと、必要経費として認められることはありません。
ただし、自宅で業務を行う中で、やむを得ず負担しなければならない支出については、必要経費として認められる可能性もあります。
在宅で問題になるのは、プライベートでの使用なのか、業務での使用なのかの区分を明確にできないところにあります。
たとえば、電気料金。自宅で契約している電気料金は、当初は私用として100%使っていたはずですが、在宅勤務が始まると業務での使用が加わることになります。この区分を明確にするためには、業務だけを行う部屋を決め、メーターを私用とは分ける必要があります。
しかし、フリーランスでもない限り、それは現実的ではありません。現実的には、一つのメーターで使用電力を計ることになり、私用と業務を明確に区分することは難しいでしょう。
区分が難しいということであれば、それを会社に請求することも難しいことになります。会社で精算できないとすると、前項目のように特定支出控除を受けられるかを検討することになりますが、その場合も残念ながらこちらも明確に区分ができない以上、適用は難しいと言わざるを得ません。
要するに業務での使用を明確に区分して、経費性を証明できなければならないのです。
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出口秀樹税理士事務所 所長
株式会社ドルフィンマネジメント 代表取締役
税理士
米国税理士(EA)
1967年北海道札幌市生まれ。1991年北海道大学文学部卒。1998年5月出口秀樹税理士事務所開所。より広い専門知識を身につけるため、小樽商科大学商学研究科入学、2005年修了。
中小企業の税務、会計、経営のサポートを行うとともに、個人の税務対策などにも積極的に取り組んでおり、その内容は多岐に及ぶ。経営者や幹部、若手リーダー向けのわかりやすい財務分析や財務三表の読み方セミナー、不動産オーナー向けの税務対策セミナーなど講師としても活躍中。
著書に『知れば知るほど得する税金の本』『知れば知るほど役立つ会計の本』(共に三笠書房《知的生きかた文庫》)、『会社の整理・清算・再生手続きのすべて』(共著、中央経済社)、『改訂版会社経営100問100答』(共著、明日香出版社)などがある。
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