「相続登記を放置する人」が続出している
近年、所有者の不明な土地や空き家が社会問題になっています。多くの場合は、すでに亡くなった人の名義のまま何代にも渡って相続が発生した結果、関係者の数が膨大となってしまい、手続きが進まなくなってしまっている状態、あるいは相続人の居所が不明で売却等の処分もできなくなっているような状態です。
被相続人が死亡した後の不動産の名義変更(相続登記)には、現行法上はいつまでにやらなければならないといった期限はありません。そのため多くの方が後回しにしてしまい、その間に手続きが複雑化して、手の施しようのない状態に陥ってる実態があります。
そこで、相続登記を義務化しようという動きがみられています。期限内に相続登記をしない場合に一定の罰則を与えようというものです。所有者不明の土地や空き家の問題を解決するには、期限の有無に関わらず早めに相続登記を行うことにつきます。
このような空家問題もさることながら、もっと身近に相続登記を放置していた場合に潜んでいるリスクについて今回は事例を挙げて解説したいと思います。
事例:遺産分割協議がまとまらない不仲姉妹
被相続人:X(父)
相続人:A(長女)、B(二女)
Xさんの遺産:自宅不動産と現預金
長女Aさんは父Xさんと同居していました。Aさんと二女Bさんは母親の相続のときに揉めてしまい、関係が修復することなく、今回の葬儀で数年ぶりに顔を合わせることとなりました。
Xさんの遺産を相続するのはAさんとBさんです。Xさんの遺産について相続手続きを行う場合、Xさんが遺言を残していなければ、相続人が遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議とは、遺産を誰がどのような割合で取得するかを相続人間で協議することです。遺産分割協議がまとまらないことには遺産は凍結されたままで、手続きを進めることができません。
預貯金については、遺産分割前であっても相続人による一部払い戻し請求が可能ですが(民法909条の2)、全額ではありませんし、不動産についてはこのような制度はありません。
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<民法909条の2>
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
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