2020年10月分「機械受注」のデータ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

10月分機械受注(除船電民需)は前月比+17.1%と2ヵ月ぶりの増加に

 

内訳は製造業・前月比+11.4%、非製造業(除船電民需)・前月比+13.8%と2ケタ増加

 

2ヵ月連続3ヵ月移動平均上昇で、基調判断は「下げ止まっている」に上方修正

 

10~12月期見通し前期比▲1.9%。残り各月前月比▲14.4%ずつで達成

 

 

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+17.1%と2ヵ月ぶりの増加になった。一方、3ヵ月移動平均は前月比+4.1%で2ヵ月連続の増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.8%で11ヵ月ぶりの増加になった。事前の予想より10月分はかなり良かったという印象である。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回9月分では通信業で通信機1件があったが、今回10月分の大型案件は0件であった。大型案件の影響でしっかりした前月比になったわけではないことがわかる。

 

●10月分製造業の前月比は+11.4%と2ヵ月連続の増加だ。10月分の製造業では17業種中、12業種で増加し、減少は5業種だった。

 

●10月分非製造業(除船電民需)の前月比は+13.8%と2ヵ月連続の増加になった。電力業は前月比▲33.0%の減少であったが、10月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+2.3%と2ヵ月連続の増加になった。非製造業12業種中、9業種が増加で3業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回9月分は12件であった。内訳は、民需が4件。非製造業の電力業2件(発電機1件、原子力原動機1件)、運輸業・郵便業1件(船舶1件)と前述の通信業(通信機1件)である。官公需が4件。防衛省(航空機1件)、地方公務2件(その他産業機械2件)その他官公需1件(その他産業機械1件)。外需4件(電子計算機等1件、船舶3件)であった。今回10月分は2件であった。内訳は、官公需が防衛省1件(航空機1件)。外需1件(化学機械1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は10月分前月比+6.9%と5ヵ月連続の増加となった。前年同月比は▲6.5%と18ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は10月分前月比+20.7%と2ヵ月ぶりの増加になった。前年同月比は+4.1%と9ヵ月ぶりの増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年10月分から20年3月分まで半年にわたり「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断にさらに下方修正され、7月分では判断据え置きになった。8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、前回9月分で据え置きになった。今回10月分で「下げ止まっている」に上方修正となった。機械受注(除船電民需)の3ヵ月移動平均が2ヵ月連続上昇したことなどを反映しているようだ。

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは▲1.9%である。10~12月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年の11年間でみると、上振れ7回、下振れ4回であり、やや上振れしやすい傾向がある四半期である。20年(令和2年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率89.5%をかけたものである。10~12月期の前期比見通しの▲1.9%を達成するためには、11月分以降の各月分が前月比▲14.4%でよい。11月分以降の各月分が前月比0.0%なら10~12月期の前期比は+13.7%になる。新型コロナウイルス感染症の動向が不透明な中、11月分以降は前月比減少になる可能性も大きいだろうが、10~12月期の実績が見通しを上回る可能性も出てきたようだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの今年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、9月は47.5(同10人)と持ち直してきていたが、10月は46.8(同8人)、11月は46.1(同13人)に低下した。11月のコメントには「客先の業界で年末に向けて多少の設備投資があると思ったが、新型コロナウイルスの影響で余り良くならず、低迷状態が続いている。」(東海、電気機械器具製造業〔経営者〕)というものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落した。20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した後、10月は41.1(同14人)に、さらに11月には36.1(同5人)低下した。11月では「欧米でも新型コロナウイルスの感染が拡大しているため、営業活動の制限が続いている。また、国内も設備投資意欲が上がってこない状況である」(北陸、一般機械器具製造業〔総務担当〕)というコメントに代表されるように、コロナ禍では先行き不透明感は強く、積極的に設備投資が出てくる環境ではないようだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年10月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2020年12月9日)

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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