※本連載は、上谷さくら弁護士の著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。本連載に掲載する民法は2020年4月施行の改正民法の内容、そのほかの法令は2020年3月時点の内容に基づきます。

労働者のさまざまな権利を守る「労働三権」

<あなたを守る法律>

【憲法】第28条 勤労者の団結権等

勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

会社などで働いていると「マタハラ退職」「リストラ」「派遣切り」「雇い止め」など、嫌な言葉にぶつかることがあります。

 

労働者は、雇う側に比べて弱い立場に置かれています。そこで労働者のさまざまな権利が法律で守られていますが、その中に「労働三権」と呼ばれるものがあります。

 

「労働三権」とは、労働組合とその運動に関する権利であり、次の3つで構成されています。いずれも、働くすべての人に関係する権利です。

 

●団結権…労働組合を結成する権利

●団体交渉権…労働組合が会社と交渉する権利。会社は、労働組合との交渉を断れません

●団体行動権…ストライキのこと

 

労働組合は簡単に言うと、「労働者が、労働条件の改善などのために自分たちで組織した団体」のことです(労働組合法第2条)。

 

労働者は、団結して労働組合を結成し、集団で雇用者と対峙することで、初めて対等な立場に立って、労働条件の改善のために交渉することが可能になります。

原則と例外が逆転している…「時間外労働」の実態

Q1.「業務が忙しくて、残業だけで年間500時間くらいになってしまう。」

 

⇒残業時間には、上限があります。通常、年間360時間を超える残業は違法です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

本来、労働基準法では、休日労働や1日8時間・週40時間を超えて労働者を働かせると違法になります(第32条)。

 

しかし例外的に、労働組合や労働者の代表と「協定」を結んで協定書を労働基準監督署へ提出すれば、休日に出勤をさせたり、1日8時間・週40時間を超えて一定の上限まで残業をさせたりしてもよい、とされています。

 

この協定は、労働基準法第36条に定められているため「36協定(サブロクキョウテイ)」と呼ばれています。36協定で延長できる上限は、原則として年間360時間、月45時間までです。この時間を超えると、違法になります。

 

もっとも、現在ではほとんどの会社が36協定を締結しており、原則と例外が逆転しています。

 

Q2.「会社が『36協定で年間360時間までしか残業はできないから、それ以上の時間残業をしてもその分の残業代は支払わない』と言ってきた。」

 

⇒この場合、会社は、36協定に違反したうえに残業代の不払いという、ダブルで違法行為を行うことになります。36協定を超える分の残業に対して残業代を払わなくてよい、ということは決してありません。

 

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おとめ六法

おとめ六法

著者:上谷 さくら

著者:岸本 学

イラスト:Caho

KADOKAWA

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