ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

重要なことはデータを分析して仮説が立てられるか

さらにページ別に、どのページで離脱してしまうかを見ていきます。トップページで多くの人が離れてしまっていたら、まずそこから直さなければなりません。中のページに問題があるときは、そのページを修正するとともに回遊してもらうように導線を見直し、サイトを改善できるようにします。

 

後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)
後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)

訪問者の男女比や年齢構成から、想定しているターゲット層がそのサイト内にどれくらいの時間滞在しているか、どれくらいのページを閲覧しているかどうかも分析できます。

 

「うちのプロモーションのターゲットは男性客だ」というように、先入観が強いクライアントがよくいます。ところがアクセス解析ツールで見ると、滞在時間が長いのはむしろ女性という結果が出ることが往々にしてあります。すると購買時に決定権を持っているのは実は奥さんではないかという仮説が成り立ちます。そこから女性に発信するページを増やして女性向けページを新たに作るといったように、コンバージョン率を高める施策が見えてきます。

 

別のクライアントでユーザーの年齢構成を調べた結果、シニア層はよく見ているが若者はサイトからすぐ離れてしまっていることが分かりました。本来年齢層に関係なく利用してほしいサービスなので、このままでは若い層を取りこぼす可能性が大といえます。どのターゲットにもまんべんなく受けがよいサイトを作るのは難しいので、取りこぼしを減らすために若い人目線のコンテンツを充実させたサイトを新設することになりました。

 

年齢層別、あるいは男女別など、ターゲットに合わせたサイトが増えていくと、今度は全体の入り口のサイトを作ってそこから各サイトに誘導することも検討していいでしょう。それぞれのターゲットに合ったページに行くので、離脱率が下がり、滞在時間が長くなって問い合わせや商品購入につながる率が上がっていくことが期待できます。

 

現状を改善する施策を行ったら、その前後の数字を比較することで、今度はその施策の効果が検証できます。

 

そしてさらに、ターゲット設定の見直しやプロモーション戦略の変更に踏み込むこともできます。

 

もっとも同じ数字を見ていても仮説が立てられずに、ああ、女性が思ったより滞在しているな、で止まっていると、せっかくのデータもただの数字で終わってしまいます。重要なのは、データを分析していかに仮説を立てられるかです。

 

もっと危ないのは、出てきた数字を見て間違った分析をして、適切な施策がとれなかった場合です。前よりもかえって訪問客を逃すサイトになってしまっては困ります。

 

ですからクライアント企業が自分でサイトをいじるのではなく、外部のウェブマーケティング会社に任せるのがよいでしょう。

もちろん担当者が「アクセス解析ツールを見る時間がなくて……」と言っているような会社には頼めません。普段からアクセス解析ツールを利用しているか、その数字をもとに提案をしているかを、契約の前に確かめておくことが必要です。ただ、そんな会社はなかなか見つからないかもしれません。

次ページヒートマップツールで訪問者行動を分析して改善
増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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