レスラーさんが「あえて嘘をついた」理由は…
レスラーさん一家の相続が危うくなったもう1つの原因は、レスラーさんが相続財産を少なく申告していたことだ。どういう意図で1000万円だと言ったのかはわからない。
勘違いしたのかもしれないし、あえて少なく言ったのかもしれない。いずれにしても、契約ごとの間違いや噓は、契約そのものを白紙にする可能性を持つ。そのせいでトラブルが起きたり、大きくなったりするのだ。
私個人は、レスラーさんがあえて少なく言ったのではないかと思っている。もともとがケチな性格だから、再婚相手に渡すお金を少なくしたいと思った可能性もあるが、それよりも、本当の金額を伝えることで、再婚相手がお金に目がくらむ可能性を嫌がったのだと思っている。つまり、再婚相手のことが本気で好きだったのだ。
そうだとしても、やっぱり噓はダメだ。どんな小細工をしても、どんなに純粋な気持ちがあっても、相続の手続きでは正確な金額を出さなければならない。必ず調べられ、財産の額は明らかになる。ごまかそうとするだけ無駄であり、レスラーさんの息子たちのように、誰かに迷惑をかけることになるのだ。
生きていくためにお金は必要だし、大事なものである。しかし、あの世に持っていけるわけではない。
亡くなると同時に相続が発生し、すべての財産が次の人の手に渡る。そう考えれば、相続は生涯の稼ぎの総決算であり、人生の締めくくりともいえる。天国や地獄が存在するかどうかはわからないが、噓をついたとしたら地獄行きだ。今頃レスラーさんは、閻魔大王にこっぴどく叱られているかもしれない。酒好きだったレスラーさんだけに、天国で好きなだけ飲んだくれていると思いたい。