騙されてはいけない「一括借上げ収益マンション」の罠
このように、私は自動運転化することを目標にしていますが、その理由は人生の中で最も重要な資産は自分の時間だからです。不動産経営のコアの部分は自分で管理し、それ以外のサブの部分はできるだけ外注する戦略です。例外は、時給単価が高いため自分でやった方が安い業務です。自分で仕組みを作って、外注して業務を回した方が断然手残りが多くなります。
ここまで、私が所有する自動運転化物件をご紹介しましたが、もちろん一括借上げの収益マンションは含まれていません。一括借上げ収益マンションのセールス電話が、職場にかかってきた経験のある方は多いと思います。
これらの不動産は、偽りのメンテナンスフリーとみなすべきです。なぜなら、物件価格が割高過ぎるため、これらの物件を購入すると債務超過に陥るからです。メンテナンスフリーの言葉に惑わされてこれらの商品を購入することは、決して行ってはいけない行為なのです。
<POINT>
●忙しい医師こそ、所有物件の自動運転化を目指そう
●高収益を謳う一括借り上げマンションのセールス電話には惑わされるなかれ。「自動運転」の意味をはき違えてはいけない
「マイホーム購入」も不動産投資…利益を上げるには?
経済的に自由な状況へ到達するために不動産は避けて通れません。しかし、一般の人が不動産を購入する機会は限られており、そのほとんどはマイホーム購入だと思います。私の場合も、不動産との最初の出会いはマイホームでした。マイホーム購入に関して、バブル崩壊前まで次のようなコースが理想的とされました。いわゆる「住宅すごろく」です。
●振り出しは、「都会の単身アパート暮らし」
●次に結婚して「ファミリータイプの賃貸マンション」
●子供ができると「分譲マンション購入」
●「マンションを転売して郊外に庭付き一戸建て住宅」を所有して、上がり
住宅すごろくでは、都市部で働く人の多くがこの方式で「上がり」となりました。これが可能だったのは、地価は上がり続けるという土地神話が健在だったためです。しかし、状況は激変しました。郊外の不動産価値は下落しているため、実は「上がり」ではなかったのです。問題が表面化しないのは、団塊世代は住宅ローンを完済しているからです。現在の不動産の状況は下記のごとくです。
●地価は二極化している
●中心部の利便性の高いエリアでは地価上昇、それ以外のエリアでは地価下落
●中心部と言えども、世界経済とリンクした地価の浮き沈みがある
このような状況では、住宅すごろくを実践することは経済的な自殺行為となります。では、どうすればよいのかと言うと、不動産市況を睨みながら上手く波乗りすることになります。まず最初に認識するべき点は、「マイホーム購入はれっきとした不動産投資である」ということです。マイホームは夢の実現ではありません。純然たる投資行為なのです。マイホーム購入が投資行為であることを認識すると、目指すことはひとつしかありません。「マイホーム購入で利益を得る」ことです。マイホーム購入で利益を得るためには次の2点が必須です。
①安価に仕入れる
②価格が維持されやすい物件を購入する
①の問題点は、不動産を安価に仕入れることができる時期は限られていることです。感覚的には10年間に2〜3年程度しか購入するチャンスはありません。1990年代前半のバブル崩壊以降の25年間では、2001〜2004年、2009〜2012年の8年間しか安価に不動産を購入できるタイミングはありませんでした。待ち時間が長いことがよく分かります。
しかし、不動産価格が高騰している時期にマイホームを購入すると、取り返しのつかない失敗につながります。では、その間はどうすればよいのかというと、賃貸暮らしが推奨されます。私は不動産賃貸経営者でもあるのでよく分かるのですが、現在の賃料水準は非常に低いです。不動産価格が高騰しているだけに、賃料水準の低さが際立っています。賃料と不動産価格の間には緩やかな相関性がありますが、それ以上に賃料水準を決定する主な要因は需給関係です。大量の賃貸物件が供給される状況では賃料は頭打ちになります。
この状況を上手く利用しない手はありません。しばらくは賃貸暮らしで様子をみて、不動産市況が暴落し始めたら都市中心エリアの物件を物色するのです。割高になった不動産を購入して数千万円の含み損を抱えるぐらいであれば、数年間家賃を払い続ける方が損失は小さいと考えるからです。
マイホーム購入に人生の夢を託する人は多いと思います。そのような考え方の人は、上記の考え方に眉をひそめるかもしれません。しかし、何度も言うようにマイホーム購入は立派な不動産投資です。
そして、金額が大きいだけに人生を左右しかねない大きな投資になります。このため、マイホーム購入では自分の夢やライフステージに合わせて購入するのではなく、資産性と購入タイミングを慎重に吟味する必要があります。マイホームは、不動産市況を睨みながら安価な時期に購入するべきなのです。
自由気ままな整形外科医
医学博士、日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医