年収1千万円超でも老後資産ゼロ…「貯蓄を頑張る医師」の末路

一般に高所得と言われる「医師」。しかし大半の医師は「富裕層」とは程遠く、むしろ「ほんの少し余裕があるだけの普通の家庭」というのが現実です。貯蓄だけで資産形成を行うことは難しく、リタイア後、数十年で生活資金がゼロになる恐れも…。「ファイナンシャルプランナーによる医師のマネープランは参考にならない」と述べる筆者が、医師の資産形成を現実的に分析。※本連載は、自由気ままな整形外科医氏の著書『医師の経済的自由 豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス』(中外医学社、2017年刊行)より一部を抜粋・再編集したものです。

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FP提唱の「医師のマネープラン」は非現実的

ときどき、医師向けの転職雑誌の特集で、医師のマネープランを見かけることがあります。将来の収支や資産状況を予測したキャッシュフロー表を用いて、収入と支出を将来にわたって予測します。例えば次のようなモデルケースです。

 

●医師(45歳)、妻(43歳、専業主婦)、長男(14歳)、長女(9歳)

●年収 1800万円(手取り年収1300万円)

●生活費 400万円

●住宅ローン 3000万円(残20年)

●貯蓄・投資 3000万円

●長男…小学校(公立)→中学・高校(私立)→私立医学部(下宿)

●長女…小学校(公立)→中学・高校(私立)→私立文系(自宅)

 

このケースの場合、65歳での完全リタイアを前提にすると、80歳前には貯蓄がゼロになるそうです。このような老年破産を回避するために、ファイナンシャルプランナー(FP)が住宅ローンや生命保険の条件見直しや資産運用等の対策を説明しています。しかし、残念ながら根本的な考え方が間違っているため、何ひとつ問題点が解決していません。

 

ファイナンシャルプランナーの最大の過ちは、資産運用と言っても「お金を増やすこと」しか考えていないことです。このような解決策では「年間生活費×無職の期間−公的年金」で算出される金額の貯蓄が必要となります。そして、往々にして必要とされる金額は巨額となるため、貯蓄したり資産運用で殖やすだけでは実現が困難です。

 

また、単なる銀行預金による貯蓄は、インフレに弱いという欠点もあります。日本は1990年代のバブル経済崩壊以降、デフレに悩まされ続けました。今の40歳台以下はインフレ経済の経験がありません。このため、インフレの怖さを実感できないのです。しかし、経済学の本を紐解くと、本当に困るのはデフレよりも制御できないインフレです。少なくとも永久にデフレが続くことはあり得ないので、資産が銀行預金しかない状況はできるだけ避けるべきだと考えます。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

必要なのは「お金を生み出す仕組み」を作ること

お金を増やすことだけでは、リタイア後の経済的安定のための解決策とはなりにくいです。私が考える最も理想的な解決策は、「お金を増やすこと」ではなく「お金を生み出す仕組みをつくること」です。例えて言うと、金の卵ではなく金の卵を生むニワトリを獲得するのです。

 

お金を生み出す仕組みをつくるためには、不動産・金融資産・ビジネスなどのさまざまなパーツを利用する必要があります。しかし、残念ながら医師に最適化した解決策を指南できる方は、ファイナンシャルプランナーも含めてほとんど存在しないのが現状です。

 

私たち医師は医療の専門家なので、他業種の専門家を妄信してしまう傾向にあります。ファイナンシャルプランナーはお金の専門家です。専門家であるのなら、自分たちがそうであるように、きっと責任ある仕事をしてくれるだろうと思ってしまうのです。もちろん、枝葉の対策は指南してもらえるでしょう。

 

しかし、ファイナンシャルプランナーが、人生の根幹に関わる戦略まで教えてくれることはありません。彼らが教えてくれるのは、教科書に載っている一般的な知識のみです。優秀なファイナンシャルプランナーであっても、彼らの意見は次の理由でほとんど参考になりません。

 

●ファイナンシャルプランナーには、医師のキャリアパスを理解できない

●ファイナンシャルプランナー自身が、資産運用をして成功している例は稀である

アドバイスはほぼ机上の空論…「お金の専門家」の実態

医師のキャリアパスは特殊です。このため、医師としての実体験がなければ、正確にキャリアパスを理解することは難しいです。つまり、医師でないファイナンシャルプランナーが、本当の意味で私たちのことを理解することは困難なのです。

 

また、ファイナンシャルプランナーの言うことには、机上の空論が多いことも問題点です。実体験での裏付けがないのに、彼らは教科書に書いていることをそのまま人に伝えてしまいます。このため、アドバイスする内容に現実味がないのです。おまけに、単に教科書に載っているからという理由で、その通りにしても絶対に結果を出せないようなことを平気で勧めてきます。

 

本当に有用なアドバイスをできる優秀な人であれば、ファイナンシャルプランナーなどしなくても自分で資産運用して生きていけるはずです。そのような能力がないからこそ、ファイナンシャルプランナーとして稼がざるを得ないのです。

 

このように専門家と言われる人であっても、実力を伴っていない方が非常に多いです。専門家という肩書を鵜呑みにして、自分の人生に関わる判断を他人に任せてしまうことは非常に危険だと思います。こればかりは、専門家と言われている人を妄信してはいけません。自分で考えて行動に移す力を養う必要があるのです。

 

<POINT>
ファイナンシャルプランナーには、医師のキャリアパスを踏まえた提案は不可能と心得よ

 

 

医学博士
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医 

(※写真はイメージです/PIXTA)

1990年 某医科大学、京都大学工学部に現役合格。実学を志向して医学部に進学
1996年 大学卒業、研修医として勤務を開始
1997年 父の会社が倒産して生まれ育った生家を失う。まったくゼロからの再出発を余儀なくされた
2000年 金融資産投資を開始
2004年 収益マイホームを購入して不動産投資を開始
2009年 金融資産の時価総額が1億円の大台を突破
2012年 「整形外科医のブログ」開設
2013年 銀行融資の残債<金融資産を達成して、実質的に無借金経営となる
2016年 専門職向けの医療コンサルティング会社を創業

2012年に開設した「整形外科医のブログ」において、平日は日々の臨床を、週末は資産形成の話題を毎日更新中。

整形外科医として市中病院の人工関節センターに勤務しながら金融資産投資と不動産投資を実践し、それ以外にも業界第2位の専門職向け医療コンサルティング会社を経営している。

金融資産投資ではストック型銘柄への超長期逆張り投資を、不動産投資では都市中心部に特化したドミナント戦略を掲げて、実質的無借金で約12億円のポートフォリオを運営している。

著者紹介

連載現役勤務医が解説!「経済的に自由な医師」になるための資産形成法

医師の経済的自由 豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス

医師の経済的自由 豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス

自由気ままな整形外科医

中外医学社

勤務医を続けつつ資産形成に成功した現役医師が明かす「第3のキャリアパス」とは? 「仕事のやりがいは感じているけれど、責任の重さや激務に比べて給料が少ない」。これは、卒後10年前後になる多くの医師が実感しているこ…

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