前回は、「最新防犯設備」が必ずしも安全を確保するわけではない理由を説明しました。今回は、「遮音材」を使ってもマンションの音問題を必ずしも解決できるわけではない理由を見ていきます。

床の遮音性能の表示は「ごく一部の音」に対するもの

あれば安心と思いがちなセキュリティ同様、音問題も設備仕様で解決できるものではありません。

 

まず、ひとつ目は、よくマンションの広告で表示されていた床の遮音性能です。表示された性能が高ければ、音は聞こえないと思う人もいるかもしれません。しかし、こうした表示だけで音問題は解決しません。

 

というのは、音の伝わり方は多種多様であり、床の遮音性能の表示はごく一部の音に対するものだという認識が住宅業界全体に薄いからです。

遮音性能に関する質問で販売会社の力量がわかる!?

まず床の遮音性能にはスプーンをフローリングの床に落とした時のようなカツーンという軽量衝撃音(LL値)と、子どもが椅子から飛び降りるようなドスンという重量衝撃音(LH値)の2つがありますが、マンションの広告で表示されている遮音性能はLL値である場合が多いようです。

 

しかし、実際の生活で気になることが多い、子どもがドスドスと踵を床にぶつけて走り回るような足音はLL値では示されない重量衝撃音ですし、人の話し声やCDから聞こえる音楽は床にモノがぶつかる衝撃音とは異なる空気伝播音というもので、チェロやコントラバスのような楽器は床に響きを与えながら音を出しますので、空気伝播音の他に固体伝播音というものを含みます。

 

ですから、マンションの営業マンが音問題への配慮としてLL値という床の性能表示を詳しく説明したとしても、LH値や空気伝播音、固体伝播音に関する性能についてはまったく触れられてはいないわけなのです。

 

その他、音はいわゆる高周波や低周波と言われる周波数帯によっても伝わり方は異なります。

 

つまり、いくらLL値の表示があったとしても住まい全体の遮音性能については、ほぼ何も表示していないに等しいのです。

 

もちろんLL値の高い床はいいものですが、それだけでは、静かな暮らしができるかどうかは判断できないと考えるべきです。モデルルームの営業マンはこの手の話は知らないことも多いので、その会社の力量を測るために質問してみるのもいいかもしれません。

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