投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー

 

ジョー・バイデン米次期大統領が外交・安全保障に関わる閣僚クラスの人事案を発表した。また、ジャネット・イエレン前FRB議長が財務長官候補となる見通しだ。大物議員や実業家ではなく、実務に精通し、バイデン氏と共に仕事をした経験のある専門家が選ばれている印象だ。そうしたなか、ジョン・ケリー元国務長官の気候変動担当特使への起用が注目されよう。

外交・安全保障:実務に長けた堅実な人選の印象

バイデン次期大統領は、11月24日、外交・安全保障関連の政府高官候補について、国務長官にアントリー・ブリケン元国務副長官、国家情報長官にアブリル・ヘインズ元CIA副長官、国家安全保障担当補佐官にジェイク・サリバン元副大統領国家安全保障担当補佐官などの名簿を発表した(図表)。いずれも関連する職務の経験者であり、バイデン氏と共に仕事をしたことのある専門家だ。派手な人事ではないが、大統領を支えるには堅実な人選と言えるのではないか。

 

出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問が作成
[図表]バイデン次期大統領の指名が見込まれる政府高官候補 出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問が作成

 

米国においては、政府高官の多くが政治任用され、正式に就任するには、大統領が指名し、上院の承認を得る必要がある。上院はジョージア州の2議席が年明け1月5日に決選投票になったが、既に半数の50議席を確保した共和党が過半数を維持する可能性が高い。

 

現職のドナルド・トランプ大統領は、就任時、与党である共和党が上院の過半数を握っていたものの、高官候補の承認を得るのに苦労した。ワシントンの政界との関係が希薄だったため、候補者の人選に課題があったと言われている。一方、上院議員を36年経験した後、バラク・オバマ大統領に副大統領として8年仕えたバイデン次期大統領の場合、そうした点での懸念は少ないだろう。

イエレン前FRB議長:市場は財務長官指名を好感か?

経済関係の閣僚クラスは来週発表の予定だが、財務長官にはジャネット・イエレン前FRB議長の候補者指名が確実視されている。同氏は労働経済学者だが、オバマ大統領の下、FRB副議長から女性初の議長へ昇格した。ただし、通常、議長は1期4年、2期以上を務めるが、トランプ大統領は再任を認めず、2018年2月に退任している。

 

米国経済は新型コロナ禍により「雇用なき回復」局面に入った可能性が強い。そうしたなかで、財政政策と金融政策の一段の連携が重要とされている。雇用問題、金融政策の双方に明るいイエレン氏の財務長官については、適切な人選として歓迎するムードが市場では強いようだ。

ケリー特使:温暖化対策で米国が主導権を握る意図

今回の人事案で最も注目されるのは、ケリー元国務長官だろう。上院議員を28年務め、うち4年は外交委員長であった点はバイデン次期大統領の経歴と重なる。また、2004年の民主党大統領候補であり、オバマ政権では国務長官を務め、副大統領であったバイデン氏とオバマ大統領を支えた。民主党の重鎮の1人と言って間違いないだろう。

 

温暖化対策は、従来、コストとされてきた。しかし、世界の潮流は、新たな成長戦略の鍵を握るとの考えにシフトしている。大容量バッテリー、燃料電池(水素)、小型モジュール原子炉(SMR)などで技術的にリードすることが、国の産業競争力を高める上で極めて重要だ。自国に有利な国際ルールを設定できれば、その恩恵は極めて大きいと考えられる。

 

トランプ大統領は、米国の伝統である国際的なルール作りに背を向けてきた。一方、外交を得意とするバイデン次期大統領は、大物のケリー氏を担当特使とすることで、地球温暖化対策に関し、米国が主導権を握る意図なのではないか。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『人事案に見るバイデン次期米大統領の姿勢』を参照)。

 

(2020年11月27日)

 

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧