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FRB 来年は2021年以降の「出口戦略」を模索する年か?

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11月25日に公表されたFOMC議事録では、資産買入れに関する選択肢に加えて「フォワード・ガイダンスの強化」が議論されたことが明らかになった。フォワード・ガイダンスが強化され、経済が正常化に向かえば、来年は2021年以降の「資産買入れ縮小」という出口戦略を模索する年になりうるため、FOMC議事録は重要なインプリケーション(含意)があったと考える。

11月のFOMCでは資産買入れの選択肢について議論された

11月25日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では、資産買入れに関して4つの選択肢が議論されていたことが明らかになった。それらは、①資産買入れ規模の拡大、②資産買入れ対象の長期債シフト、③資産買入れ期間の長期化、④資産買入れ規模を縮小させながら、買入れ期間を長期化させる方法だ。

 

議事録では現状の資産買入れペースとその内訳に関して、緩和的な金融環境を醸成させる点において有効だと評価しており、早急な金融政策の変更を示唆するものではなかった。しかし、金融政策の変更が適切だと判断されれば、上記の資産買入れ手段が選択される可能性があるため、事前に頭の体操をしておく必要はあるだろう。

 

株式市場への影響という点では、特に①と②の選択肢がプラスに働く可能性がある。①資産買入れ規模の拡大や②資産買入れ対象の長期債シフトは、長期金利の上昇抑制につながることが想定されるため、株式市場に対しては支援材料となる。一方、③ついては、すでに現行の資産買入れが「無期限」となっているため、インパクトとしては薄い。また、④については金融引締と捉えられる(誤解される)可能性があるため、株式市場に対してはマイナスに働くだろう。

フォワード・ガイダンスの強化は「比較的早い段階に(fairly soon)」

もうひとつ議論されたことは、フォワード・ガイダンスの強化だ。こちらも、FOMC議事録において金融政策の変更が示されたわけではないが、利上げを開始する前に資産買入れを縮小させ、利上げ前には資産買入れを停止させていることがフォワード・ガイダンスによって示唆されなければならないとした。また、フォワード・ガイダンスについては、定性的結果に基づいたガイダンスによって、資産買入れ期間を経済情勢に応じて調整すべきだとし、フォワード・ガイダンスの強化が「比較的早い段階(fairly soon)」で必要だと認識された。

 

ここで重要なのは、予期せぬ金融政策の変更(緩和→引締め)はボラティリティ(変動率)を高める傾向があることだ。

2021年は「市場との対話力」がより一層求められる年に

2013年5月の「テーパー・タントラム」を思い出して頂きたい。これは、当時のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が資産買入れの縮小を示唆したことをきっかけに株式・債券市場が急落し、相場が一時的にパニック状態になったことを示す造語だが、この時も金融緩和状態から金融引締め観測が一気に高まった局面だった。

 

FRBが検討中のフォワード・ガイダンスの強化が、具体的にどのような内容になるかは定かではないが、フォワード・ガイダンスの強化と経済の正常化によって、資産買入れペースの縮小時期が市場関係者の間で「先読み」されるようになれば、やはり相場もそれ相応に反応することになるだろう。つまり、FRBは市場との対話力がより一層試される「難局」をこれから迎えることになる。

 

特に注意しなくてはならないのが、11月のFOMC(4日~5日開催)時点では、ファイザーやモデルナの新型コロナワクチンの有効性が発表されていなかったということだ。そのため、当面は資産買入れの継続が想定されるものの、新型コロナワクチンの供給による「経済の正常化」の可能性をFRBが今後どのように織り込むかによって、2021年以降の資産買入れペースの縮小時期が前後することになりかねない。

 

FRBが依然として短期的な経済の下振れリスクを警戒し、追加緩和策を拡充する決断を下せば、出口戦略は「杞憂」に終わる。しかし、(当面は資産買入れが継続するものの)遅かれ早かれ「フォワード・ガイダンスの強化」→「経済の正常化」→「資産買入れの縮小/停止」→「利上げ」は避けて通ることはできない「関門」になる。2021年はFRBにとって難しい舵取りを迫られる年になるだろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRB 来年は2021年以降の「出口戦略」を模索する年か?』を参照)。

 

(2020年11月30日)

 

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

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