「損益計算書(P/L)」から何の業種かわかる?
以前の記事『退職金まで判明…!? 10分でわかる貸借対照表(B/S)の読み方』では、B/Sの読み方を解説しました。あっという間にB/Sが終わったところで、次は損益計算書(P/L)です。B/Sや次回以降で解説するC/Sよりも、こちらの方が感覚的に理解しやすいかもしれません。B/Sと同様、まずは問題から見ていきましょう!
Q. この損益計算書はどの業種でしょうか?(図表1)
答えは、本記事の最後で紹介しましょう。このテーマを読み終えた人ならわかる問題になっていますので、最後に答え合わせをする際には、最初にこの問題を見たときの、自分の考えと照らし合わせてみると面白いかもしれません。
では、損益計算書(P/L)を見ていきましょう!
そもそも「P/L」とは?最低限おさえるべき4ポイント
ここまで見てきたB/Sと、会計上密接に連携しているのがこのP/Lという財務諸表です(連携の意味については後述するので、ご安心を!)。そもそも、損益計算書とは何なのでしょうか。
【①簡単に言うと、どんなもの?】
⇒「企業の1年間の活動の中で、いくら売り上げて、いくら費用がかかったのか、そしてその結果、いくら利益が出たのかを記録したもの」
P/Lとは何かと問われれば、ずばりこれです。
「ぶっちゃけ今年、この企業は儲かったの?」という企業の成績表を見ることができるものです。こうした「儲かったかどうかに関する情報(「経営成績」といいます)」をまとめたものが、損益計算書なんです。
【②損益計算書=P/L】
損益計算書は、英語だと「プロフィット&ロス・ステートメント(Profit & Loss Statement)」といい、日本でもこの頭文字を取って「P/L」と呼ばれることが多いです。
Profitは利益、Lossは損失、Statementは計算書。英語でもそのままの意味ですね。このP/Lという表現も、B/S同様多くの場面で使われます。
【③項目によって、左右にグループを分ける】
P/Lでは、左側(借方)に「費用」をまとめ、右側(貸方)には、収益をまとめます。ここでの「収益」は、売上と置き換えて理解してください。
【④借方と貸方は一致する】
費用の合計額と、収益の合計額には差が生じますが、この差は「利益」または「損失」になります。この利益または損失と、収益及び費用を合計することで、借方と貸方が一致するのです。B/Sでも似たような説明をしたのを覚えているでしょうか?
<収益の方が大きい場合>
利益が生じているときの計算は以下のようになります。
・収益(100)―費用(80)=利益(20)
⇒(借方と貸方が一致)
<費用のほうが大きい場合>
損失が生じているときの計算は以下のようになります。
・収益(80)―費用(100)=損失(△20)
⇒(借方と貸方が一致)
これらを図解したのが、図表3ですね。
P/Lに記載されている情報は、大きく分けて3つ
では、なんとなくP/Lについてイメージがついたところで、より詳しく見ていきましょう。
P/Lには「費用」「利益」「収益」の3つが記載されるというお話をしました。P/Lの左側(借方)には費用と利益、右側(貸方)には収益を記載するんでしたね。
【P/Lに記載されている情報は、大きく分けて3つ】
1. 収益…企業が1年間に売り上げた金額
2. 費用…従業員の給料や、広告費用など、企業が1年間でかけた費用
3. 利益や損失…収益と費用の差で計算する。この数字を見ることで、その企業が儲かっているかどうかがわかる。
本記事では、収益を青色、費用をオレンジ色、利益を緑色(損失を赤色)で表していきます。それでは、「収益」「費用」「利益」それぞれを詳しく見てみましょう。どのような項目が記載されるのか、まずは大まかなP/Lの構成を見てください(図表4、5)。
どんな項目も、結局は「収益・費用・利益」の1つ
費用側と収益側を分解すると、沢山の項目がありますが(図表6)、忘れないでいただきたいのは、先ほど解説したように、「損益計算書は収益と費用を比べて利益を出しているだけ」ということです(図表7)。
損益計算書は①収益、②費用、③利益(損失)の3つの要素で構成されているのがわかりました。
もし実際の損益計算書を見た時に難しい単語と出会ったとしても、ひるまずに一呼吸おいて「これはどの要素なのか?」を考えていると迷わずに読み進めることができると思います。
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