「自分の不注意なところを治したいかな?」
自閉スペクトラム症とADHDは密接につながっており、それぞれの濃さの違いで症状の出方が異なります。
さらにその上に虹がかかったようにさまざまな二次障がいが併存しています。発達性協調運動症(DCD)、反抗挑発症(ODD)、素行症(CD)、限局性学習症(SLD)、知的発達症(IDD)、不安障害、そして、うつです。これらが複雑にからみあって、個々の発達障がいを形成しているのです。
E君の場合も、「E君も忘れたりする自分の不注意なところを治したいかな?」と尋ねると「はい」ときちんと答えました。そして、錠剤の薬を飲むことをお願いして、診断は終わりました。その表情は、自分のことがわかったためかどこか晴れ晴れしているようにも見えました。
自尊心を低下させないために必要なことは、よく褒めることです。他のお子さんがやっていることを少しでもできたら、例えば、椅子に長い時間座っていられたら、それだけでも褒めてあげてください。
診断を終えてドアを閉める間際に、私はわざと大きな声で本人に聞こえるように、いつも「いい子だな」と呟(つぶや)きます。お子さんはこの私の最後の言葉を聞いています。
とにかく、褒めることが必要です。褒められて嫌なお子さんはいません。こうひと言付け加えることで必ず次の外来にもやってくるのです。
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