発達障がいについて語られることが多くなった昨今。本記事では書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「こころの問題」をひも解いていきます。

社会に馴染めない大人たち

10年以上前までは、発達障がいが一般的にはあまり知られていませんでした。

 

そのため、小・中学校、高校、大学と見逃され、大人になり、今になって初めて自分はADHDではないかと気づきクリニックへ相談に来る大人の方たちが増えつつあるのです。大人になって気づければまだいいのですが、気づかず、さらに周りから指摘されても、自分は普通だと思い込み相談しない方も多くいます。

 

ある日、知り合いから自分の部下の営業マンについて、相談をされたことがあります。話を聞く限り、その会社の営業マンは、ADHDを伴った自閉スペクトラム症の可能性が高そうですが、本人はそのことを認識していないようです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

歳は40代前半で、それなりの大学を出て一時職に就きますが、その後転々とし、ようやく今の会社に正社員の営業マンとして採用されました。まだ結婚もしていません。会社でうまくいかないことに違和感は覚えつつも、そのままやり過ごしてきたそうです。

 

彼には、同じミスを何度も繰り返す癖があり、今の会社に正社員で入ってからも忘れ物や指示を聞いていないなど小さなミスを何度も繰り返していました。

 

ある日、知り合いの上司はプレゼンのためにその営業マンと出張するということで、羽田の喫茶店で待ち合わせることになりました。事前の打ち合わせで、上司は予定表を見て、「空港での待ち合わせ予定時刻が出発20分前では遅いのでは?」と尋ねましたが、頑なに「大丈夫です」と彼は言い切りました。

 

不安はあったのですが、そこまで強く言われてはと、彼の言う通りの待ち合わせ時間にしたのです。そして、万が一、喫茶店が見つからない場合は、出発ロビーで落ち合うことに決まりました。

 

当日、上司が第2ターミナルに着くと、彼の言う喫茶店は見つからないどころか存在していませんでした。

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