新規事業を本気で始める最良のタイミングとは?
新規事業について、中小企業の経営者は特に「なんとなく」で考えている人が多いように思います。
「なんとなく、将来必要にはなりそうだ」
「なんとなく、探しておいた方がいいかもしれない」
「いい話があれば、なんとなく考えてみよう」
このような漠然とした意識では、いつまで経っても新規事業は始められません。余裕がある時こそ、必要に迫られていない時こそ、新規事業を本気で始める最良のタイミングです。そこに十分な投資ができる資金もあるでしょう。
逆に、新規事業を探す際にやってはいけないのは、「必要に迫られて」探すことです。「本業が落ち目になってきたから、他で挽回しなければ」という状況に追い込まれると、新規事業の将来性をじっくりと見定める余裕もなく、かつそこに充てる満足な資金もありません。中途半端な状態にもかかわらず、すがる思いで見切り発車をして、失敗してしまうという例は、枚挙にいとまがありません。
中小企業が置かれている状況は依然、厳しいですが、そんな中でも着実に成功を収めている企業はもちろんあります。そうして堅実に成功している経営者が陥りがちな罠として「うちの業態は安定しているから大丈夫」という慢心があります。
経験者は、バブルを思い出してください。あれほどの好景気で、断っても、断っても仕事があったのに、たった一年ほどで、一気に仕事が蒸発し、倒産の危機に追い込まれる……。そんなことが現実にあると、予想していた人はほとんどいないのではないでしょうか。しかし実際に、それは起きたのです。バブル期のような大きな「追い波」が来ていると、経営者にはおごりが生まれ、危機感を忘れがちです。しかし、景気がいい時だからこそ、業績が悪化した場合の備えを行っておくべきです。
ここでいう備えとは「内部留保」のことではありません。新規事業を探し、新たなビジネスの種をまいておく、ということです。
筆者は日々、経営者の方とお会いしていますが、事業が順風満帆だと、本業でどうやってさらに儲けるかにばかり気を取られ、新規事業を手掛ける方には意識がいかない人が多くいます。いい時にこそ、次の手を打つ。いい時にこそ、悪くなった時を想定しておく。経営の基本でありながら、意外に実践できていないことだと思います。
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