本記事では、週6日遊びながらも会社を成長させ、70億円の資産を築いた筆者が、「社長が遊ぶほど会社が儲かる」理由と仕組み、「遊びのメソッド」について解説します。今回は、本業の調子がよい時にこそ本気で新事業に取り組むべき理由について見ていきます。*本記事は、谷田育生氏の著作『社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー』より一部を抜粋、再編集したものです。

「札付き」マンションの購入を即決

筆者が手掛けた新規事業で最も大きな利益を上げたのが不動産業です。最初はまったく知識がないところからのスタートでしたが、それでも順調に歩んでこられたのは、やはり人脈と銀行をうまくコントロールできたおかげでしょう。

 

事の発端は、借金でした。遊びのために使ったお金、5億円ほどが、気がついたら借金として残っていました。会社の経営上はそこまで重くない額だったのですが、運送業が頭打ちになりつつあったこともあり、そろそろ返そうかと考えだしました。遊びの後始末を会社に回すのもどうかと思い、新たな利益を生みそうな事業を摸索していたのですが、自分ひとりだけで始められる不動産投資に白羽の矢を立てたのでした。

 

手始めとして、三重県四日市市のマンションを、公売で落札しました。その公売に参加したきっかけはある日、親しくしていた不動産業者が、チラシを持ってきたことです。そのマンションは、立地もよく、確かに魅力がありました。しかも、もとは16億円だったものが、7億5608万円まで値下がりしていました。筆者はその場で、入札を決めました。

 

ただし、値崩れしていたのには、理由があったのです。そのマンションの前の持ち主は、反社会勢力に借金があり、その債権として物件を要求されていました。筆者が買った時点でも、反社会勢力が居座っており、不動産業界では有名な「札付き」のマンションだったのです。現在では、反社会勢力が公売物件に関わってくることはほぼありませんが、昔はそうした札付き物件が公売に出ていました。

 

公売物件が市場より安い理由のひとつは、物件にどんな瑕疵(かし)があろうとも裁判所は責任を取らない決まりがあるためです。民間業者であれば、そうした瑕疵を公開しなければ売る側に責任が問われますが、公売物件は「入札するなら、自己責任で。瑕疵(かし)は自分で調べる」というのが前提なのでした。

 

もちろんそうしたことはある程度わかっていましたが、それでも購入を決めたのは、紹介してくれた不動産業者と信頼関係があったのに加え、「人がやらないことをやる」という筆者の信条に合っていたということもあります。とりあえず何事も、やってみなければわからない。そう思って購入を決意しました。ちなみに当時の会社の年商は、約14億円。その半分以上の額を借金したことになり、今思えば社運をかけた「大勝負」でした。

 

それからは大変でしたが、反社会勢力とやり取りをするのは、実は初めてではありませんでした。高級クラブでのトラブルを解決した経験が、大いに役に立ちました。彼らが求めるのは、結局お金ですが、弱腰で出れば足元を見られ、「いいカモがいる」と際限なく吹っ掛けられます。かといって、正攻法で攻め立ててメンツをつぶすと、その場は勝てるかもしれませんが、違う形で必ず報復されます。そうした匙(さじ)加減と、「これ以上はメンツがつぶれるから、ここで妥協しよう」という引き際。それがわかっていれば、交渉できます。結局、上手く解決して、物件を無事、所有することができました。

 

こうした「札付き」物件は、それが解決さえできれば、儲かります。そもそもの売値が規格外に安いのですから、当然です。このマンションも、2年後に12億5000万円で売却。5億円の売却益を得ることができましたから、借金を無事に清算できた計算です。

リーマン・ショックで大暴落した不動産を一気に購入

「トラブルを解決すれば儲かる」とはいえ、「札付き」物件を買ったのはその一度だけです。しかしそれがきっかけで、不動産業者から頻繁に電話がかかってくるようになりました。それには理由があります。実は公売物件の落札価格であった7億5608万円は、公売元である名古屋国税局の管内において、史上最高の金額でした。そのため、朝日新聞や読売新聞に記事が掲載されたのです。そして記事を見た不動産業者が、「不況下に、ずいぶん羽振りがいい会社がある」ということで、営業をかけてきたわけです。

 

さすがにいちいちそれに乗っていては、大損をしてしまいますから、ほとんどは無視しました。ただ、自分の嗅覚で「これは」と思う物件が出てきた時のみ、銀行にも査定をさせた上で、銀行からお金を借りて購入していました。着実に儲けが出ましたが、当時の投資はまだまだ個人の範疇で、事業とまでは呼べなかったと思います。

 

本格的に不動産投資を事業化したのは、2008年です。9月15日、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発し、連鎖的に世界規模の金融危機が発生。いわゆるリーマン・ショックです。そこから不動産はどんどん値を下げ、大暴落。それまでの半値は当たり前で、4分の1、5分の1まで価格が下落する物件も数多くありました。しかしそれでも、買い手がつかない状況でした。

 

そこで筆者は、一気に物件を買いました。人がやらないことを、あえてやってみる。いわゆる「逆張り」です。リーマン・ショックほどの不景気が長く続くはずはありません。続いたら日本の経済が壊滅してしまいます。また、バブル崩壊とは違い、震源地はあくまで海外で、日本には余波が届いているに過ぎません。そう遠くないうちに、必ず価格は戻る。そんな読みがありました。銀行も、リーマン・ショックのあおりで、お金を貸す相手が見つからず四苦八苦していたタイミングでしたから、借金の申し込みは渡りに船。筆者が買いたいといえば、どんどんお金を貸してくれました。

 

そこで資産を築けたことが、経営のひとつの転機となりました。それ以降は、筆者にも不動産投資の知見や情報が蓄積され、事業として十分やっていけるレベルに成長しました。現在は、利益が頭打ちである運送業に迫り、筆者の会社のもうひとつの収益の柱となりつつあります。これまでの遊びの中で培ってきた、投資能力とトラブル解決能力が、うまくかみ合った結果、不動産事業が軌道に乗った。筆者はそう感じています。

 

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社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

社長が遊べば、会社は儲かる ―週6日遊んで70億円の資産を築いた経営者のストーリーー

谷田 育生

幻冬舎メディアコンサルティング

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