相続人が続々と登場!10年相続争いが続いた結果…
そして、ご長男が事務所にいるのをどこかで見聞きしたのでしょうか、彼が帰るのを見計らったように、今度はご長女が突然事務所に来られました。それから「長男には内緒で」と、財産分割についての自分の想いを延々とお話しされ、ひとしきり自分の故人への献身を語られた後、ご長女は満足したような顔で帰って行かれました。
ほっと一息しようとした時、今度は、ご次男がこれまた彼女が帰るのを見計らったかのように事務所に来られたのです。そして「あの二人はけしからん」と怒鳴り、「故人の生前に貢献したのは自分だ」と拳を振り上げて言われたのです。
担当者である税理士は、三人のお話をとにかくじっくりと聞くことにしました。そんな日が1か月も続いたでしょうか、何度か協議の場所を設けましたが、決着しそうかに見えても、また不満が噴出してやり直しという協議が何度も繰り返されました。とうとう各人の弁護士が出てくるありさまで、分割協議に私たちの入り込む余地はなくなってしまいました。
結局、複雑な経緯を経てもめにもめた結果、協議がまとまらないまま10年ほどが過ぎていきました。その間、当事務所としては亡くなったお客様が遺した賃貸マンションの確定申告を行うことでお付き合いは続けていました。