本当に悪徳か?一方的に責められないワケは…
◆パンドラの箱が突然、開くと…
ところで、このような成功報酬を得る仲介業者の営業マンは、本当に悪徳なのでしょうか。フルコミッションであるか固定給であるかにかかわらず、より稼ぎが多い仕事に向かうのは、一般的な職業心理・就業心理としては当然のことです。その報酬を狙う彼らを一方的に責めることはできません。
悪徳なのは、その仲介業者の営業マン個人ではありません。なぜなら、これは不動産業の取引のしくみのなかで起こっていることだからです。もし、だれが悪徳なのかを特定するとすれば、それは不動産業界そのものです。悪いのは、取引全体のしくみをブラックボックスで覆い隠し、一般の人はだれも踏み込むことができないようにした業界そのものなのです。
その意味では、業者、営業マンのやり口が悪質・悪徳だというのではなく、業界全体が「構造悪」の状態で、そのなかで業者や営業マンは黙認された仕事をしている、という言い方が適切なのかもしれません。そのような取引構造が両手取引、両手片足取引などという、より儲けの多い取引の温床の入り口ともなっています。
ですから、みなさんにとって大事なのは、「家を売ったり買ったりするときは、このような『不動産業界』を相手にしている」という事実を知ることなのです。