バブル期に購入した不動産の多くが「塩漬け」状態
土地神話時代といわれたかつてのバブル経済下では、多くの資産家が不動産によるキャピタルゲインを得ていました。不動産の価値は絶対に下がらない、上がり続けるだけだと信じられていた時代です。ところが、バブルがはじけた瞬間に不動産の価値は大幅に下落し、不動産オーナーのもとには借金と、売ったとしてもろくな値段のつかない不動産だけが残りました。
東京都渋谷区に住むAさんも、不動産に悩まされた一人です。Aさんは、親から相続した〝御殿〟と呼ばれるような大きな住宅と、1000平方メートルを超える敷地を所有していました。
バブルも終わりかけの1990年、「所有不動産を放ったらかしにしておいても、固定資産税が負担になるだけ」と、財閥系の大手ハウスメーカーなどのすすめで、Aさんはその敷地にRC造・エレベーター付きの立派な賃貸マンション(25部屋)を建てました。金融機関からの借り入れは5億5000万円です。
都心部への通勤が30分ほどの立地で住環境も良いため、建築後間もなくは1部屋当たり月35万~50万円で満室が続き、順風満帆かと思われました。
しかしバブル崩壊後、環境は激変しました。1部屋当たりの家賃は2年ごとの更新のたびに下がり続け、最終的には半分にまでなりました。それでも空室を埋めることができず、月々の賃料収入が借入金の返済額にも満たない持ち出し状態になってしまったのです。