為替介入で陥る悪循環
クレジット・モメンタムと呼ばれる、承認はされたものの実行はされていない貸出金の総額がいくらあるのか、研究者は分析すべきである。金利が早い段階で修正されていれば、これはあまり深刻な問題にはならなかっただろう。銀行が競って金利を上げているのをみると、承認はされたものの実行されていない貸出金が多くあると予測される。通貨の発行により市場の流動性が高まっているにもかかわらず、オーバーナイトのリバース・レポを通じて借り入れを起こしている銀行もあり、これもまた一つの証左となる。
この状況では、不胎化外貨売り介入という古典的な悪循環が起こる。為替介入は外国為替市場で行われ、流動性不足が進行する。次いで、中央銀行による国債買いが頻繁に行われ(流動性の注入は、流動性が不足している銀行にされるとは限らない)、それが貸し出されることで輸入が促進され、それが更なる介入を必要とする。為替市場に変動相場を導入することは双方の問題を解決し、金融政策と為替政策間の矛盾を解消させる。これまでも、スリランカは過剰流動性を恒久的に不胎化し、金利を上昇させなければ、外貨準備金を失うことになると警告されてきた。
日本からの支援にも期待
IMFとの交渉を受けた税制改正提案後の補正予算は、前回よりも改善されたようである。歳入は約1兆6,800億スリランカ・ルピーもしくは、国内総生産(GDP)の13.5%になる。11月の予算案では、歳入が2兆320億スリランカ・ルピーもしくは、GDPの16.3%と甘く見積もられていた。公認会計士協会の一部のメンバーは、発生主義会計を導入しようとしているが、これは断固として阻止すべきである。なぜなら、民間企業の財務諸表のように、数字がさらに容易に操作できるようになってしまうからである。
最終的に、予算はキャッシュフローの金額である実際の国内借入を示す必要がある。税収外収入では、ありがたいことに国営企業の民営化で得られる利益を計上できそうである。現在の支出は1兆7,370億スリランカ・ルピーであるが、あと約1,900億スリランカ・ルピー削られれば良いだろう。11月の予算案では1,040億スリランカ・ルピーもの黒字と驚くような数字を出していたが、今の修正案では約500億スリランカ・ルピーの財政赤字となっている。ただ、それでも少し甘い見通しではと思えるくらいである。
資本的支出は6,390億スリランカ・ルピーであり、資本プロジェクトの欠如や財政赤字削減の余地を考えると、いくらか大胆な金額である。赤字全体は国内借入の3,780億スリランカ・ルピーを含め、6,790億スリランカ・ルピーになる。つまり3,000億スリランカ・ルピー以上が外国資金となる。これには、スリランカの信用が格下げされ、金利が上昇している状況下でやっていけるのかという問題がある。しかし、アジア開発銀行や世界銀行、あるいは日本や韓国からの資金調達が期待できる。キャピタルゲイン税等が制定されると、いくらか資金調達ができるだろうし、収益基盤の整理はデフォルト不安を和らげる効果があるからだ。