求められる抜本的な金融制度の改革
金利が上昇し、中央銀行の過剰流動性がいくぶん解消されるとともに、税収が増え、財政赤字の一部が修正される中で、国際通貨基金(IMF)によって実行される予定の融資は、スリランカに安定をもたらすことが期待される。
今回のIMFとの取極は、2009年に行われたような一時的なスタンドバイ取極(SBA)ではなく、拡大信用供与措置(EFF)になるという期待がある。外国為替準備高の減少、資本逃避、ソブリン債の格下げ、自動車貿易の制限等、これまで警告されてきた最悪の事態は、不幸にも現実のものとなっている。
度重なる政策的な誤りは、もはや単なる財政改革ではなく、金融制度全般の根本的な改革が必要であることを示している。IMFプログラムは、基本的に財政を改善し金融政策を引き締めるものである。かなり遅れてしまったが、ようやく金利は引き上げに向けて修正されてきている。
そもそも金利が市場の需要に応じて上昇することができていたのならば、現在のような危機は発生しなかっただろう。市場の需要に応じて金利が漸次的に上昇するのでなければ、過剰流動性が減少した際に、予算のアンバランスを是正するため、金利が必要以上に高くならざるを得なくなってしまう。
無謀な紙幣増刷が招いた国際収支危機
財政赤字がクレジット・システムへの圧力となって、国際収支危機が引き起こされるというのがIMFプログラムの前提である。これは一部では正しいが、より正確に言うのならば、財政赤字を補てんするための金融緩和や通貨の発行、もしくは不胎化外貨売り介入のための通貨の発行、またはその両方により国際収支危機は引き起こされるのである。中央銀行が財政ファイナンスをせず、金利を市場に任せるのであれば、経済成長は遅れるかもしれないが、経済危機が引き起こされることはない。
IMFから約10億米ドルの融資が期待されているが、それは米国債の購入を通じて、米国の財政赤字を埋めるために使用されるので、信用醸成には意味がない。その上、IMFプログラムに合わせて、インドからの7億ドルの融資の引き上げが予期されるので、信頼の再構築にはより多くのことが必要だろう。インドはスリランカの中央銀行へスワップ供与をすることでスリランカの悪政を継続させている、と言われていたが、現在インドはスリランカに最後通告を与え、IMFに突き出しているのである。