「銀行破綻」で預金していた人に返ってくる金額…富裕層は絶句

私たちにとって最も身近な「投資」は銀行預金です。今回は、銀行預金が投資につながる仕組みについて見ていきます。*本記事は杉野和也氏、前野達志氏の共著『インフレ時代の投資入門』から一部を抜粋、再編集したものです。

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あなたは銀行に「お金」を貸している?

実はほとんどすべての日本人は、お金でお金を生む「投資」をそれとは気づかずに行っています。私たちにとって最も身近な「投資」は銀行などの金融機関です。

 

銀行の口座を持っていない社会人は、存在しないといってよいでしょう。実は、銀行にお金を預けるという行為は、あなたが銀行にお金を貸していることなのです。その証拠に、銀行は預金利息という名目で、利子をつけてお金を返してくれているでしょう。預金利息とは、ひらたくいえばお金のレンタル料です。これが、お金を使ってお金を生む「投資」の日常的なかたちになります。

 

銀行口座を持っていない社会人などいないだろう。 (画像はイメージです/PIXTA)
銀行口座を持っていない社会人などいないだろう。
(画像はイメージです/PIXTA)

 

銀行が私たちに対して、預金をしてくださいと広告やキャンペーンを行うのは、お金を貸してください、と言っているのです。なぜ銀行は、そこまでしてお金を集めたがるのでしょうか。それは、銀行自身が「ベニスの商人」に出てくるシャイロックのように金貸し(金融業)を営んでいるからです。

 

金貸し、というとネガティブなイメージになってしまいますが、そもそも金融業は、必要としている人にお金を融通する仕事で、世のため人のためになる大変立派な職業です。なぜなら世の中には、お金を必要としている人がたくさんいるからです。その筆頭が、事業主(会社経営者)です。

 

何らかの事業を起こそうとするときには、初めにお金が必要です。例えば、あなたが「ドラえもん」のタケコプターの原理を思いついたとしましょう。それを実際に製作するためには、試行錯誤の時間だけでなく材料費と工具費が必要です。試作品が完成したとしても、量産するためには工場をつくったり人を雇ったりで、さらに多額のお金が必要になります。あなたが発明したタケコプターを欲しい人に届けたいと思ったら、最初の1台を売る前に何千万円ものお金を調達しなければなりません。

 

工芸品や衣服を製作するような個人事業でも事情は同じです。かつてバングラデシュでは、お金のない貧困層の女性が小作人や下請け労働者として、まるで奴隷のような労働に従事しているという事情がありました。その実態を憂えた経済学者のムハマド・ユヌス氏は、自らグラミン銀行を設立し、彼女たちに無担保でミシンや裁縫道具などを購入する事業資金を貸すことで自立を支援しました。融資によって貧困層を減らしたユヌス氏の功績は高く評価され、2006年にノーベル平和賞が授与されています。

貸し出しにリスクがあればあるほど金利は高くなる

銀行のように、とりあえず使い道のないままに余っているお金を預金として集めて、お金を必要としている人に貸す仕事は世の中には欠かせないものです。そして、銀行業務も仕事であり、人手と時間がかかっている以上、利益を上げなければなりません。どのようにして利益を上げるのかといえば、お金を貸すときに金利(利息)を取ることです。この貸出金利と預金金利との差額が、銀行の利益になります。

 

例えば、私たちが銀行に100万円の定期預金をすると年間で0.1%の金利がつくとしましょう。銀行が100人からそれぞれ100万円を集めると、合計で1億円になります。この1億円をまとめて企業に貸し出します。貸出金利を3.1%とすると、預金金利との差の3%(300万円)が銀行の利益となります。

 

それならば、私たちも銀行を通さず、直接、企業に貸したほうが儲けられるではないかと考えられますが、個人で1億円を用意するのは大変です。また、たとえあなたが1億円を持っていたとしても、それを本当に企業に貸してもいいと思えるでしょうか。相手先企業の業績によっては、返済が滞るかもしれませんし、運が悪ければ事業に失敗して倒産してしまうかもしれません。そうなれば、あなたの1億円はゼロになってしまいます。

 

銀行は、そのようなリスクを背負って資金の貸し出しを行っているために、高い金利を取ることができるのです。一般に金融業界では、貸し出しにリスクがあればあるほど金利が高くなります。なぜなら、リスクの高いところには誰も資金を融通したがらないからです。そのため、相手は金利が高くてもいいからお金を借りたいと思うのです。

 

こうして金利が高くなると、リスクがあっても利益が上がるのでお金を貸してもいいと考える人が出てきます。これを「ハイリスク・ハイリターン」と呼びます。ですから、あなたがこの先何らかの金融商品を見たときに、相場と比較して金利が高いようであれば、それは何らかの理由でリスクの高い商品であると考えることができます。

 

逆に、リスクの低い商品は、まず間違いなく低金利です。これを「ローリスク・ローリターン」と呼びます。私たちが日本国内の銀行に円預金をする場合は、ほぼリスクがゼロとなっています。なぜならば、日本国内の銀行に限っていえば、日本政府が1000万円までの預金は必ず返済すると保証しているからです(正確に言えば、そのような保険をつくって、銀行に加入させています)。

 

ですから、銀行が企業に対する投資に失敗して、貸出資金を回収することができなくなって経営が危うくなり、破綻や倒産の憂き目にあったとしても、日本という国が存続している限り、元本で1000万円までの預金は必ず戻ってくるものと考えていいでしょう。その代わり、預金金利が雀の涙程度のものに抑えられていることは、皆さんご存じの通りです。

生活が豊かになったのは「お金」のおかげ!?

そもそも「お金」とは、私たちの生活になくてはならない便利なツール(道具)です。大昔、お金がなかった頃、私たちの祖先は必要なものはすべて自給自足するか、あるいは物々交換で手に入れるしか方法がありませんでした。

 

しかし、物々交換だけの世の中では、商談が成立する可能性がとても低くなってしまいます。例えば、あなたが魚を持っていて、肉と交換したいとしても、肉を持っている人があなたの魚を欲しがっていなければ交換してもらえないのです。そうこうしているうちに魚が腐ってしまっては元も子もありません。

 

そこで、いつでも誰もが欲しがるもので、なおかつ腐らずに保存ができるものが、とりあえずの交換物として使われるようになりました。日本の場合は米が使われました。さて、この場合、あなたの魚を欲しいという人があなたの欲しいものを持っていなくても、とりあえず米と交換しておいて、その米とあなたの欲しいものを交換することができます。これがお金の始まりです。

 

やがて、お金には金(ゴールド)が使われるようになりました。金は安定した金属で、腐食しないので保存がききますし、軽くて持ち運びに便利ですし、光が独特で偽物との判別が容易だったからです。

 

このように、お金というものはまずモノの価値をはかり、流通を助けてくれるツールとして登場しました。お金が誕生したことで、モノとモノを交換するのが容易になり、流通を生業とする商人が現れて、私たちの生活は豊かになりました。私たちがフランスのチーズやブラジルのコーヒーを楽しむことができるのは、お金があるからなのです。

私たちは無自覚のうちに「投資」行動をしている

しかし、お金のもう一つの側面は、私たちの世界に貧富の差をもたらしました。それは貯蔵性です。お金というものは、肉や魚と違って、その価値を減ずることなく貯めておけるものでした。ですから、同じようにお金を稼いでも、さっさと使ってしまう人と、使わずに大事にとっておく人とで、だんだんと手持ちのお金の量が違ってきたのです。

 

そのうちに貯めたお金を有効利用して、さらに大きな富を生み出す人が現れました。有効利用とは例えば、お金の必要な人に貸して利息を取るとか、川に橋をかけて通行料を取るとか、人を雇って畑を耕して生産性を上げるとかです。このようなお金の有効利用を「投資」といいます。「投資」によってお金はさらにお金を生み出すようになりました。

 

ちなみに、「投資」の反対語は「消費」になります。この場合の「投資」とは「お金を生むためにお金を使うこと」で、「消費」とは「ただお金を使うこと」です。

 

ですから、あなたが会社で行っている労働もまた「投資」の一種になります。なぜならば、あなたはあなた自身の身体を資本とする労働力を、会社に提供して給料を受け取っているからです。その労働力は、あなたがお金を使って、食事をしたり英気を養ったり気分転換をしたりして、自分自身の健康状態や精神状態を整えて、初めて提供可能になっているものです。

 

もしお金がなくなったとしたら、私たちは食事にもありつけず、ゆっくりと身体を休める寝床も見つけることができなくなってしまうでしょう。そうなると、労働力を提供してお金を得ることも難しくなります。

 

あなた自身やあなたの家庭を、利益を生み出す会社のようなものであると考えてみれば、住宅の購入もまた「投資」であることが分かります。会社にとって「投資」とは「資本」の購入ですから、あなたが住宅や車を購入することは、会社にとっての設備投資とイコールになります。住宅や車の購入によって、生産性が上がってより大きな利益を生み出すことが期待されているからです。

 

住宅や車というものは、通常は、借金をして(ローンを組んで)購入するというところも「投資」によく似ています。なぜ人が借金をしてまで住宅や車を購入するのかといえば、お金が貯まるまで待つよりも、ローンを組んで先に買ったほうが、支払う金利を上回るほどのメリットが得られると考えるからです。このように、将来のより大きな利益(メリット)を期待して、お金を投じることを「先行投資」と呼びます。

 

以上から分かるように、好むと好まざるとにかかわらず、私たちは自分自身に「投資」をして、そこから得た利益をまた自分自身を活かすための「投資」に回すという、「投資」のサイクルから逃れることはできません。自分は「投資」には縁がないと思っているあなたは、そのつもりはなくても、無自覚のうちに投資行動をしている自分の姿に気づくことから始めましょう。

 

 

 

 

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パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013年1月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA協会認定証券アナリスト。

著者紹介

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本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

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